ニュースが分かる! Q&A 住宅購入検討者調査にみる需要の複雑化 生活変化で優先順位に揺らぎ
住宅新報 2026年5月12日 号 16面
連載: ニュースが分かる!Q&A

記者A 4月21日号のSUUMOリサーチセンター(リクルート)による「住宅購入・建築検討者調査」(2025年)を改めて見ると、単にニーズが変わったというよりも、判断の難しさが増しているといった方がよさそうだよな。
記者B 調査からは、立地や価格といった従来の重視条件に加え、広さや間取り、住宅性能といった居住性の項目も同時に重視される傾向が見られます。条件の入れ替わりというより、複数の条件を並行して求める動きが強まっています。
A 順位そのものが付けにくくなっているということか。条件が横並びになれば、選択は難しくなるよな。
B その背景は、生活の変化です。共働き世帯が増加したほか、通勤と在宅が併存する働き方の普及なども相まって、立地と住環境の双方を満たす必要が出てきています。
A つまり、生活が分かれていた時代は「通勤重視」で割り切れたが、今はそれができない。結果として条件を削れず、迷いが生じる構造になっているわけだな。
B はい。その影響は検討期間にも表れています。調査では購入検討期間の長期化が見られ、価格上昇に加え、複数の選択肢を並行して比較するケースが増えていることが背景のようです。
A 比較対象が増えたことも大きいよな。新築か中古かという単純な構図ではなく、リノベーションやエリア変更といった選択肢が並ぶが、「選択肢が多い」ではなく、「比較が難しい」状況だよな。
B その通りです。評価軸が増えたことで、単純に優劣を付け難くなっています。
A 更に言えば、〝資産〟という視点も加わっているのではないか。
B それは、まさに重要な点です。調査では住宅を居住だけでなく資産としても捉える意識が一定程度見られます。立地や将来価値を意識する回答も多く、居住性と資産性の双方を考慮した検討が進んでいます。
A とはいえ、その2つは一致しない場合が多い。都心は資産性が高いが広さは制約されやすく、郊外はその逆だ。これは判断軸が二重化している状態といえるのでは。
B はい。そのため、どちらを優先するか決めにくくなり、結果として優先順位が揺らぐ要因といえます。
A 加えて価格上昇局面では「失敗できない」という心理も働く。これは検討を長引かせる要因でもあるな。
B その通りです。購入金額の上昇により、後悔回避の意識が強まり、慎重に比較検討される傾向があります。
A すべてを満たすのではなく、どこかで折り合いを付ける必要が出てくるわけだ。
B 調査や市場動向を見ると、エリアや駅距離といった条件の一部を見直さすケースが多い一方、広さや住宅性能など生活の質に関わる要素は維持される傾向にあります。
A 変えられるものから削るという合理的な行動か。単なる妥協ではなく、最適化の過程と見るべきだろうな。
B 世帯によっても、若年層は価格制約が大きく、条件の見直し幅も大きい傾向がありますが、一方で共働き世帯は通勤や生活利便性を重視し、立地の妥協が難しいケースが多いといった傾向の違いがみられるようです。
A つまり同じ市場でも、前提条件が異なる層が混在している。これも市場を複雑に見せる要因か。情報収集の変化も影響してそうだよな。
B そうですね。ポータルサイトに加え、SNSや動画の利用が広がっています。物件スペックだけでなく、生活イメージや実体験を重視する傾向が強まっています。
A 判断材料の質が変われば、意思決定のプロセスも変わる。単なる情報量の増加ではなく、判断の仕方そのものの変化といえるだろうな。
B なるほど。そのように整理できますね。
A 今回の調査は需要の変化というより、「意思決定の変質」が表れたのかもな。条件が増えたのではなく、減らせなくなった。その結果、選べるが決められない市場になっているということか。
B 住宅選びは単純な条件比較から、複数の要素を調整しながら最適解を探るプロセスへと変わりつつあります。
A 住宅購入はもはや「条件で選ぶ行為」ではなく、「複数の条件をどう折り合わせるかを問われる意思決定」になったともいえそうだな。






















