「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第99回 メインストリート・プログラムとは
住宅新報 2026年4月28日 号 12面

前回はX(旧Twitter)で話題となった画一的な再開発によるまちづくりについて「金太郎飴的まちづくり」と書いた。都市部ではそれ以外にやりようがないのだろうか。
◎ ◎ ◎
ここで紹介したいのが「メインストリート・プログラム」である。これは1970年代後半に始まった米国の中心市街地活性化手法のことで、米国では歴史があるが日本ではまだあまり知られていない。
かつて米国では急速に進展したモータリゼーションにより郊外にさまざまな大型店舗が次々と建てられ、そこに人が集まるようになり中心市街地が廃れていった。これはどこかの国と似ていないだろうか。我が国も同様の道を歩んできている。郊外に大型の総合店舗ができて人がそこに集まり、本来の中心市街地が廃れていきシャッター商店街があちこちに見られるようになった。このような類似性があるからこそ、文化の違いはあれど米国で成功事例が多くみられる同プログラムについて学ぶ意味があるのである。
昨年末の勉強会では何度も米国で同プログラムの施策によるまちづくりを見学し関係者とも交流してきた地域経済アナリストの松本博之氏と国内各地でショッピングセンター開発に携わる会社を経営し同プログラムにも詳しい矢木達也氏のお二人に登壇いただいた。
松本氏によると同プログラムの発端は地域の資産である歴史的建造物をリノベーションし保全・活用することだったとのこと。そのためには公民連携での活動が必要となる。同プログラムでは地域でのNPO法人の設立、それに対して州政府が手厚い支援を行っていく。学んでいく中で同プログラムが全米で1200を超える組織にまで波及していく上でのいくつかのポイントがあることがわかった。それが4ポイントアプローチである。組織運営、プロモーション(魅力発信)、デザイン(景観)、経済活性化という4分野の取り組みが持続可能なまちづくりの核となる。
筆者が同プログラムの取り組みで面白いと思ったのが、公民が組織的に取り組んでいるため持続可能であることや景観デザインを統一するアプローチがあることで、そこに空き店舗の戦略的な活用がなされていることである。その過程でスモールビジネス支援もあり個性的な個人店が育つ土壌ができている。建物オーナーにとっても景観が良くなり人が集まって活性化することで資産価値は上昇する。
このように同プログラムは大規模な投資や再開発ではなく、地域の小さな投資で建物を生かしたミニ開発が中心である。住人が「わがまち」と言えるのはこうした取り組みによるもので、同プログラムを参考にする意味はあるかと思うがいかがだろうか。
□ ■ □
【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















