第96回「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 公営住宅のネックはインターネット
住宅新報 2026年3月24日 号 22面

前回は、不動産業者も自らお客の側に立った時に学ぶことが多々あるという内容だった。事例として筆者がUR都市機構(以下UR)の賃貸住宅に居住し、多くの学びを得たことを書いた。実は筆者は短期間だが東京都住宅供給公社(以下JKK)の賃貸住宅にも居住したことがある。JKKは地方住宅供給公社法に基づいて東京都民に賃貸住宅を供給することを目的として昭和41(1966)年に東京都が設立した特別法人である。東京都が建設・管理する公営住宅に居住したのも得難い経験であった。
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JKKの公営住宅もURと同様に民業圧迫にならないように駅から離れたエリア(大抵はバス便)で5階建ての階段のみ(エレベーター無し)というものが多いが、最近は都心へも建設しているようである。URとJKKの管理のやり方の違いはいろいろと感じることがあったが紙面が限られるので本稿では差し控える。両方に共通する弱点について、筆者はインターネット環境を挙げたい。
URもJKKも入居した際にMDF(電話回線や通信回線の主配線盤)に引き込まれているのはVDSL方式での光ファイバーとケーブルテレビ(CATV)のみだった。
少し専門的になるがVDSLとは集合住宅のMDFまでは光ファイバー、そこから各部屋までは電話線を使用するため通信速度が最大100Mbps(メガビーピーエス)までしか出ない。これだとインターネットでメールやWebサイト閲覧は問題ないが、動画視聴やビデオ会議などのテレワークには支障があるという速度である。CATVはそれよりもう少しスピードが出るがアップロードが弱いという特徴があり、やはりテレワークに支障を来す。筆者は自宅でも仕事をするのが習慣になっており、インターネット環境は妥協できない。
引っ越ししてすぐにNTTのVDSL、CATVを申し込みして仕事では使えないと感じ、光配線方式の引き込みについて申請を検討した。光配線方式とはMDFから部屋までもすべて光ファイバーを引き込むもので、1Gbps(ギガビーピーエス)以上の高速通信が可能である。ところがこの重要性についてUR、JKKのそれぞれに伝えて理解してもらうのに苦労した。
最初は「インターネットは引いてあるのでそれを使ってください」という対応だった。それを何とか説得して光配線方式を申請し、実際にそれが部屋まで引き込まれたのはどちらも6カ月以上経ってからであった。
このような公営住宅には若い方々も入居されているし、その中には自宅で仕事をしたり動画視聴する方もいるだろう。公営住宅は時代に合わせてインターネット環境のブラッシュアップを急ぐべきである。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















