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プレミアム会員限定紙上ブログ 不動産屋の独り言 841 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 いささか問題アリの不動産会社と客(1) 契約完了間際に一転して

住宅新報 2026年3月3日 号 6面

連載: 不動産屋の独り言 〜賃貸現場の喜怒哀楽〜

管理(賃貸・分譲)
紙上ブログ 不動産屋の独り言 841 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 いささか問題アリの不動産会社と客(1) 契約完了間際に一転して

 管理物件に以前入居していた客から相談を受けた。「引っ越しを考えていて、いい物件が見つかって申し込みをした。審査も通って契約金も振り込み、ネット重説も済んで、郵送されてきた契約書に署名と捺印をして管理会社に送り返した。その後、決められた日に鍵をもらいに行くと、担当者から『鍵はお渡しできません。家主が貸さないことにしたと言っていますので』と言うのですが、そんなことアリですか」と聞く。もちろん、そんなことが許されるはずがない。自信はないが、私が宅建試験の勉強をしていた頃は「不動産の契約は諾成契約。契約書は必要としておらず、互いの合意で成立する」と教わっていた。契約書、と書いてある書類は正式には「契約締結後、速やかに交付する書類」とのこと。つまり、もう契約自体は終わっているのだ。

家主の方針転換

 私が「先方の業者に私から聞いてみますか」と言うと、「お願いします。今のアパートも退居の連絡をして引っ越し業者も手配している。今さらキャンセルできない」と泣きそうな顔。私が管理会社に電話で問い合わせると驚くような回答が返ってきた。担当者は、「当社としてはいまだ鍵を渡していないのだから契約は完了していない、という認識です。鍵の引き渡しまで完了して初めて契約完了、ということになります。なので、この段階でお断りしても何の問題もないはずです。家主は賃貸をやめて売却する意向のようです」と言う。

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