紙上ブログ 不動産屋の独り言 839 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 高齢女性から借金のお願い 信頼関係がない中で
住宅新報 2026年2月17日 号 6面

以前部屋を紹介した高齢女性Cが店に来た。「悪いけど1000円でもいいから貸してくれないかな。次の生活保護の金が出るまで厳しいの」と言う。私はその時点で半年も給料を持ち帰っていない。売り上げの減少もあるが、管理家賃の立て替えが重くのしかかっていて自分の給料どころではない。だが、それくらいの金が貸せないほどには窮乏していない。しかし、断った。そんなことをしていたらキリがないから、でもない。保護費が出れば返してはくれるだろうし、返ってこなくても諦められる額でもある。それでも断った。
見え透いたウソ
以前、当社管理物件に入居していて、隣市の病院に2カ月入院し、そのまま別の市の施設に入ってしまった女性Sがいる。Sも生活保護受給者で、当社で立て替えていた賃料など33万円を踏み倒していた。今回借金を頼んできたCはSの友だちで、そのSから、入院中に1カ月分の家賃7万円を預かったとのこと。だが、それを当社に届けず、誰もいないSの部屋のタンスの前に置き、「翌日取りに行ったら封筒の中に4万円しか入っていなかったから、これだけ渡すね」と4万円だけ届けに来た。そんな見え透いたウソをつく人間だ。証拠がないから「アンタが取った」とは言えないので仕方なくそのまま受け取ったが、それで完全に信用を失くしている。自分が7万円を預かったなら、経緯に関係なく当社に7万円を届けなければならない責任がある。もしかすると、Sと示し合わせた話なのだろうか。
助言しないはずが
いずれにせよ、私に借金を依頼してくる神経が分からない。本人はバレてないと思っているのか、街で会っても何事もなかったかのようだ。今の部屋は2階で日当たりも良いが、「最近は膝が痛くて階段の昇り降りがつらい。1階の部屋はないかね」と相談も受けているが力になる気はない。手数料の問題ではない。信頼関係が崩壊しているからだ。それに、次は審査が通らない可能性もある。「今のアパートの1階が空いたらそのまま移る、ということなら、既に今の部屋で管理会社の審査は通っているから問題ないと思うよ。しばらく待っていれば空くんじゃないかな」とアドバイスした。あ、それでは力になっていることになるかも。 (坂口有吉不動産・社長)






















