紙上ブログ 不動産屋の独り言 833 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 支離滅裂で苦手な入居者 トラブルを機にひょう変して
住宅新報 2026年1月6日 号 6面

賃貸の仲介管理の仕事をして37年、私が最も苦手とした男性入居者がいる。生理的に合わないというか、とにかく傍に居られるだけで気持ちが悪いのだ。ごう慢や攻撃的、口数が少なすぎたり、心の病を持っていたり、とにかくいろんな人間を相手にしてきたが、今まで味わったことのない感覚を受けたのは、その男性だけ。40歳くらいで独身。他社から当社の管理物件に申し込みが入り、入居した当初はそんなことはなかったが、あるトラブルを機にひょう変した。
雨漏りで連絡
発端は男性が住む2階の部屋の雨漏りだった。連絡をもらってすぐ見に行くと、「雨水が壁を伝わってテレビが壊れた。洋服も全部水浸しになってしまったんですよ。こういうのって弁償してもらえるんですか」と聞く。私が「壁は濡れていますが、テレビは壁掛け型でなくて床置き型で、壁から離れて設置していますよね。洋服ダンスも反対側にありますし、そちらは雨漏りしていないと思いますが、どうして濡れたんでしょうか」と言っても、「今は反対側にありますが、洋服は全部、雨漏りしている壁の前に置いてあったんですよ。これ、洗濯し直さないといけないんだよね。責任とってくれるんですよね」と言うばかりで私の話は聞かない。とにかく雨漏りを早急に直したら、あとは何も言ってこなくなった。
退去の際に
半年後、退去することに。「敷金の1カ月は解約予告の関係で半分は日割り賃料に充当し、残りはクリーニング代になります。オーバーするでしょうが、家主さんに負担してもらいます。チャラということでよければとくに精算書も発行しません」という話で了解していたのに、1カ月後に「精算書が届かない」と電話してきた。
私が「お話した通り若干不足がありますが、家主さんに泣いてもらっています。引っ越しの立会い時、移転先の住所を書いてくれませんでしたよね。今、住所を教えてくれたら精算書を送ります」と言っても教えてくれず、意味の分からない言い分をする。それで「私にどうしろと言うのですか。希望があれば仰ってください」と言うと、「私にそれを聞きますか」と返す。「聞かなくても分かるだろ」と言いたいのだろうが、支離滅裂で話が通じなかった。 (坂口有吉不動産・社長)






















