紙上ブログ 不動産屋の独り言 829 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 まじめな入居者からの相談 うちも苦しいが更新料を立て替えた
住宅新報 2025年12月2日 号 6面

多摩郊外の2DKのアパートを借りている夫婦がいる。ご主人は自営業、奥様が高齢の義父の介護をし、3人で入居している。ご主人の仕事が少ない時は家賃も滞納しがちだが、必ず連絡をくれる。過去に何度か家賃を溜めたことがあり、どうやって追い付かせるか相談して、その都度約束通り追い付かせてくれる。しかも、月末になると「今、家賃の1.5カ月分を振り込みましたので大家さんに確認してくださるようお願いしてください」と連絡をくれる。37年もこの仕事をしているが、そんなふうに連絡をくれる入居者はその人だけ。根はまじめなんだろう。私も自営業だから何かと応援したくなる。
家主に内緒で
そんなことが何回かあって、更新時期を迎えたが、「家賃は必ずお支払いしますが更新料が払えません」と相談があった。家主は約定に関しては厳しい人で、「家賃や更新料の支払いが無理なら、身の丈に合った部屋に引っ越すべきでしょう。こちらも家賃の遅れを何度も許していて、更新を機会に引っ越しを検討するよう伝えてください」と言うのは目に見えている。前回の更新時にもそう言われていた。だが、まじめに頑張っていることだし、引っ越すとなれば初期費用も40万円ほどはかかるだろう。それができるくらいなら苦労はしないし、私に相談もしないだろう。家主の言っていることは間違いではないが、杓子定規な対応はしたくない。それで家主には内緒で更新料を立て替えることにした。家主が知れば「出て行ってもらってくれ」になるから。






















