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プレミアム会員限定紙上ブログ 不動産屋の独り言 827 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 自営業の若者から申し込み 「今時いるんだね」と感心

住宅新報 2025年11月18日 号 6面

連載: 不動産屋の独り言 〜賃貸現場の喜怒哀楽〜

管理(賃貸・分譲)
紙上ブログ 不動産屋の独り言 827 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 自営業の若者から申し込み 「今時いるんだね」と感心

 当社管理の古い貸し家に若い女性から問い合わせが入った。「物件はまだ入居中で内見はできないので、間取り図と外観、周辺の環境で判断してください。格安物件なので他からも問い合わせが入っています。申し込みの順番を優先しますので先に申し込みが入ってしまえば、せっかく申し込みを頂いても二番手、三番手になることを了解してください。ただ、室内を見ないで決めさせるのは不本意なので、中が見られるようになって実際に見て頂いてのキャンセルはペナルティなしでお受けします」と伝えた。すると、数日して再び電話があり、「申し込みたいです」とのこと。幸いなことにまだ他からの申し込みは入っていなかったので彼女が一番手になった。

弟を育て上げ

 申込書を見たら、33歳で自営業、弟が一人いるが両親は既に他界しているようだ。事情を聞くと、「病気です。私が大学時代に母はがん、父は心筋梗塞で亡くなりました」と言う。「親戚が私たちを預かってくれる話や、弟を施設に入れる話も出ましたが、仲の良い兄弟でしたし、どちらも嫌でしたので、私がバイトを三つ掛け持ちして弟を大学まで行かせました」とも。それも、国公立ではなく私立の大学。親の遺産などほとんどなかったそうだから大変な苦労だったと思う。壮絶だが、涙ながらにでなく明るく語る。長くこの仕事をしているが、こんな若者は初めてだ。もしも保証会社の審査が通らなかったら、私が連帯保証人になってもいいと思ったほど。もちろん、それは便宜供与になるからできないのだが。

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