紙上ブログ 不動産屋の独り言~賃貸現場の喜怒哀楽~781 家賃遅れの入居者対応がきっかけ 家主との〝良縁〟に発展
住宅新報 2024年12月10日 号 6面

当社の管理物件に、家賃が遅れる入居者がいる。当社で家賃管理はしていないが、遅れるたびに家主から「オタクから請求して頂けないか」と依頼を受ける。入居者の職業は不動産会社で、賃貸がメインの仕事だ。それで家賃が遅れるのが不思議で仕方ない。自分も滞納家賃の督促をしているのではないかと思うが、事前の連絡は一切ない。家主は同じマンションの1階に住んでいて、敷地内でよく顔を合わせるようだ。私がその入居者に電話するといつも奥さんが出て、「家賃の支払いの管理は主人がしているので伝えておきます」と言うが、一緒に暮らしているのだから「どちらの役割」とかはそちらの都合でしかない。
一部屋の家賃管理
2年ほど続いたある日、家主から「うちのマンション全てでなく、あの人の家賃だけ管理して頂くことは可能か。お願いできるなら手間賃はいくらか」との質問を受けた。「一部屋だけでも構いませんよ。手数料は5%で、家賃の振り込みがなくても、入居者がいるなら立て替えて月初めには振り込みます。毎月管理報告書を発行します」と言うと安堵の表情。さも全部の部屋の家賃管理を当社がすることになったかのような案内を作って翌月分から当社に振り込んでもらうことにしたが、家賃は今までと同じくほぼ半月遅れだ。
金額の多寡ではなく
1年ほどして更新を迎えた頃から家賃が遅れなくなった。事情を聞くと「離婚することにした」という。それで家賃の支払いなどの管理を奥さんがするようになったものか。それでも退去はせず、更に1年くらいしっかり振り込まれてきていたので、家主に「もう大丈夫ですから、今まで通り家主さんの口座に振り込んでもらうようにしましょうか。家賃も大幅に下げて頂いているので、そのほうがよろしいかと」と言うと、満面の笑みで「何を仰います、一部屋だけなのに快く引き受けてくれたおかげで現在があります。わずかな額ですが、このまま家賃管理を続けてお収めください」と言う。
毎月3000円だが、うちみたいな零細企業にはありがたいし、その後も何かと気を遣って、お菓子や野菜などいろいろ届けてくれる。「たまにはお茶でも飲みに寄ってよ」とも言う。管理料以上の付き合いが生まれている。 (坂口有吉不動産・社長)






















