不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽 757 人柄のいい外国人入居者 家主からの申し出にも感激
住宅新報 2024年6月18日 号 6面

長く空いていた募集物件に中国籍の母子から申し込みが入った。とにかく人柄の良い入居者で、家主に報告すべく電話すると、「良かったです。以前のことがありますから」と言う。それは、もう10年も前に中国人家族が入居していたとき、近隣から「話声が大きい」とクレームが入り、アパートの隣の家の息子が夜になると中国人の部屋に強烈なサーチライトを照らして安眠妨害をした。その部屋の家賃は滞り始め、なんと出国直前に成田空港から手紙で鍵を返してきた。アパートに飛んでいくともぬけの殻。その家族は自営業だったが、夢破れて帰国することにしたみたいだった。
隣人もなく
当時の経験から、私も当初は「保証会社の審査が通っても、家賃が入ればいいというものではないし断りたいな」と思っていた。だが、会ってみると、日本人でもこんなに人柄の良い人物はそうはいないだろうな、と思ったほど。実は、当時の隣家は高齢な両親と息子の3人暮らし。私も何度か足を運んでいたが、「同じことが繰り返されたら嫌だな」と心配していたら、隣の家は更地になっていた。建て替えではなく売却したみたいだ。それも家主に伝えると、やはり私と同様に心配していたみたいで、すごく安堵してくれた。そして、こんなことを言う。「坂口さんにもいろいろご足労を掛けているのですから、手間賃を引いておいてください」と。「いえいえ、仲介料は客付業者が頂きますが、当社は広告料の名目で家主さんから1カ月分をバックして頂いておりますのでそれで十分ですよ」と言うと、「それはそれなんですから遠慮せずに」と譲らない。感激した。






















