「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第47回 不動産の電子契約 お客様の要望が後押し
住宅新報 2024年4月16日 号 12面

デジタル改革関連法が施行されてもうすぐ2年を迎えようとしている。その一環として宅建業法も改正され重要事項説明書など宅建業者が交付すべき書類に押印が不要となり、これによって電子契約が可能となった。遅ればせながら筆者の会社でも今年から導入している。電子契約の導入状況や導入後の課題をデータで確認してみたい。
◎ ◎ ◎
電子契約についての意識調査として公益財団法人不動産流通推進センターの「不動産流通業界におけるIT技術の利用状況、効果と課題に関する調査報告書(2022年度版)」がある。電子契約解禁直後にアンケート調査したものだが、「システムの導入状況」を見ると「IT重説関連システム」の導入済みが約22%、「電子契約・電子署名システム」の導入済みが約13%だった。
ただ、それらの「システム導入後の効果」を見るといずれも効果を感じている割合が7割超となっており、導入の成果が上がっていることを示唆するものとなっている。注目すべきは、「システムを導入した、または導入を検討することにした背景・目的」で顧客・取引先からの要望がいずれも7割を超えていることである。
いえらぶGROUPが昨年発表した「不動産の電子契約に関する調査」は電子契約解禁後1年を経過して実施したもので、エンドユーザーと不動産会社を対象としている。エンドユーザーでは全世代で電子契約の経験が約9%と二桁に届いていない状況だった。驚いたのが電子契約の経験者に使用した端末を聞いたもので75%がスマートフォンと答えている。拡大もできるとは言え、あの小さな画面では契約書も見づらいことは容易に想像できる。
実際、「電子契約の良くなかったところ」として4割が「契約書が見づらかった」と回答している。やはり少なくともタブレット端末か、できればパソコンでの対応をお客様にお願いしたいところである。
「今後部屋を借りるとしたら、電子契約を使いたいか」という質問の回答では、Z世代の8割超が「使いたい」としている。一方で管理会社への調査では、電子契約の導入状況で管理戸数200戸未満が約8%、5000戸以上は約37%と管理戸数により大きな開きがある。管理戸数と従業員数はおおむね比例するため業務効率の違いは大きいだろう。ただ戸数に関わらず、先の調査結果で示されたように電子契約を利用したいというエンドユーザーが多いため、ここは導入を躊躇(ちゅうちょ)している場合ではない。電子契約に限らずDX化に取り組んでこなかった業者は、今取り組まなければ今後ますます追いつくのが難しくなることが考えられる。
次回は、筆者の会社で実施した電子契約で感じた課題について考察したい。
■ □ ■
【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数






















