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スタンダード会員限定「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第41回 今こそ新耐震基準のグレーゾーン周知を

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「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第41回 今こそ新耐震基準のグレーゾーン周知を

 令和6(2024)年は元日の能登半島地震で波乱の幕開けとなった。被災された方々にはお見舞い申し上げます。

 報道によると石川県内では16日までに2万棟を超える住宅の損壊があったことが分かった。古い木造住宅の多い地域で最大震度7では耐えられる建物も多くはないと容易に想像できる。ここまで被害が広がった要因のひとつに被災地での耐震化率の低さがあげられている。

 国土交通省の平成30年の推計値では、全国の住宅の耐震化率は87%となっている。それに対して石川県と被害が大きかった同県珠洲市の耐震改修促進計画によると、県における住宅の耐震化率は76%と低く、さらに珠洲市では51%と極端に低い数値となっている。同様に被害の大きかった輪島市では45%である。

 では、一般的に耐震性の高いと思われている新耐震基準の建物は被害がなかったのかというと、そうではないようだ。

 珠洲市正院町の約100棟の木造家屋を調査した金沢大学の村田助教(地震防災工学)によると、全壊だった約40棟のうち半数程度は新耐震基準の建物とみられるとのことだった。この要因として村田助教があげるのが、この地域に頻繁に発生してきた「群発地震によるダメージの蓄積」とのことである。ただし、阪神・淡路大震災の経験を踏まえて耐震基準をより厳しくした2000年以降の家屋の被害は少なかったとのこと。これは一般に「2000年基準」と呼ばれている。

 2000年基準とは、建築基準法の木造住宅に関する改正で、木造住宅の弱点を克服する改正となっている。例えば金具で柱と梁の接合部を固定したり、地震に強い壁をバランスよく配置することなどを義務付けている。

 被災していない他の地域も対岸の火事ではない。被災地の復興支援を続けながらも耐震化をさらに進める必要がある。何よりも今回の経験を踏まえて耐震化できたとして安心するのではなく、特に群発地震の発生する地域などは定期的な耐震診断が必要ではないか。また、新耐震基準だからと安心するのではなく、現行の耐震基準と同等である2000年基準を耐震化の基準とする必要があるのではないだろうか。

 住宅の耐震工事を手掛ける翔設計によると新耐震基準の内、1981年~2000年は「グレーゾーン耐震」と呼んでいるとのことである。東京都建築士事務所協会の木造耐震(2000年問題)WGでも平成28年の熊本地震で被災したグレーゾーン住宅を例に挙げて問題点を取り上げている。このグレーゾーンの周知やこの間に建築された木造住宅についての耐震性の確認と耐震改修が急がれる。

 次回は二次避難先としての賃貸住宅の役割についての内容としたい。

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【プロフィール】

 おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。

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