東京都がSN制度セミナー 管理現場の意識変革を 日管協とコラボで
住宅新報 2024年1月23日 号 7面

居住支援が求められる背景について説明する葛西准教授
東京都住宅政策本部は1月15日、東京都新宿区の京王プラザホテルで、住宅セーフティネット(SN)制度セミナーを開催した。都と日本賃貸住宅管理協会東京都支部(塩見紀昭支部長)による初めてのコラボレーションセミナーとして同支部が運営事務局を務めた。
都の担当者がSN制度の仕組みや都ならではの対応も含めた補助制度などについて解説すると共に、「母子世帯の居住貧困」などの著書がある追手門学院大学の葛西リサ准教授が、居住支援が求められる背景や必要とされる取り組み、不動産事業者が共に取り組む事例や意義を解説した。
日管協会長も務める塩見支部長は「賃貸管理現場の意識変革こそが住宅セーフティネット制度を動かす重要な役割を担う。社会との関わりが問われている」と述べた。
居住支援への対応急務 重要性増す賃貸管理業の役割
17年10月に施行された改正住宅セーフティネット法に基づき、登録制度、経済的支援、居住支援の3本を柱に住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の供給促進を目的とした住宅セーフティネット制度。昨年、国は3省合同の検討会を設置。住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する中間まとめのタイミングを迎えている。
1月15日の都主催セミナーでは、葛西准教授が、居住支援が求められる背景を解説。従来の終身雇用と家族制度を前提とした持ち家政策が崩れ、単身化や非正規雇用の中で世帯の多様化が進展し、受け皿として民間賃貸住宅の重要性が高まっているとした。更に住宅確保と、そこで住み続けられる支援こそが居住支援であるとし、「専門家をつなぐコンソーシアム化による支援が重要」と述べた。葛西氏は住宅確保要配慮者と空き家問題双方のニーズが交わる接点を探す取り組みが重要性を増すとし、高齢者住宅とシングルマザー向けシェアハウスをマッチングさせた事例などを紹介。改修費や家賃不払いリスクの低減、地域への波及効果といったNPOとの連携利点や、住宅困窮者と空室のマッチング課題などを挙げ、管理会社に対して「居住支援とは何かを知り、オーナーにそのメリットや必要性を提案する職能が求められている。地域のリスクヘッジに努める姿勢が問われている」とした。
孤立化解消も課題
また、東京都安心居住推進課の菊地美登里課長代理は、同制度について管理会社に知ってほしいポイントを解説した。23年10月末現在、都におけるSN住宅の登録状況は、要配慮者の入居を拒まない「登録住宅」5万2138戸に対し、要配慮者のみが入居可能な「専用住宅」713戸にとどまる状況だ。都は30年度末までに専用住宅3500戸の登録目標を設定。今年度から登録協力補助の要件緩和といった貸主等への支援強化や、不動産事業者等への普及啓発の強化などの登録促進にも取り組んでいると説明した。
セミナーの結びで、日管協あんしん居住研究会会長の荻野政男氏(イチイ代表取締役)は、家族構造の変化、入居者の多様化に言及。特に単身化が進む中で孤立していく高齢者が地域といかに関わりを持てるかが重要であるとし、「賃貸管理業界としても、入居するところから居住中の世話、居住者が地域の一員として安全に快適に暮らせるような業務に変わっていく時期にいる」と展望した。






















