「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第31回 入居者を無視したスキーム LPガス問題
住宅新報 2023年8月22日 号 14面

以前から問題視されていた賃貸住宅の設備費用がLPガス料金へ上乗せされていることに対して、ついに国が動いたという記事が本紙8月1日号にも掲載された。今回はこの問題の要因と本質について探ってみたい。
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もともと賃貸住宅においてLPガス料金のトラブルは昔からよくあった。入居者からすると「高すぎる」ということである。開栓時に必要な「保証金」についてもその意味を不動産業者やオーナーから聞いていないということで、不満につながっていた。これはLPガス事業者の制度でガス料金未払い対策として預けるものであり、退去の際に滞納がなければ全額返金される。ガス事業者は保証金を預ける際に預り証を発行して入居者に渡すが、渡し忘れや入居者が無くしてしまうこともある。都市ガスでは起こり得ないトラブルが起こったりする。
では賃貸住宅におけるLPガス問題とは何か。
オーナーの要望を受けたLPガス事業者が(逆にLPガス事業者からオーナーに持ち掛けることもある)賃貸住宅にエアコンや給湯器、モニター付きインターホン等を無償で設置し、ガス料金に上乗せするかたちで入居者からそうした設備費用を回収していることにある。これではガス料金が高くなるわけである。
賃貸住宅のオーナーは多くの場合それを承知で、都市ガスが引ける地域であってもそうした設備導入サービスを目当てに意図的にLPガスを導入する例も少なくない。「多くの場合」としたのは、オーナーが意図せずして、不動産業者がその仕組みを用意することがあるからである。新築賃貸住宅にLPガスをセットにして販売するのがその典型である。
こうしたことが長年の商慣行として行われており、この問題を経済産業省も認識して7月の有識者会議で関係する省令を改正し、このような上乗せを禁止する方針を示した。違反した場合は立ち入り検査や登録取り消し、罰金を科すことにしている。
本来ならLPガスの導入初期費用はオーナーが負担すべきものであるが、その分をコストとして家賃に転嫁することを嫌うオーナーがガス事業者に負担させる。家賃に転嫁すると競争力が落ちると考えるからである。ガス事業者も競争であるから、それを受け入れて結果的にガス料金として入居者からその分を回収する流れができる。
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このスキームは少なくない著名な大家が実践しブログやコラム、書籍で書いてきており、それを読んだ人がノウハウとして真似することで広がってきた。多くの不動産業者もこの仕組みを知っていながら、入居希望者に詳細な説明をすることを避けてきた。結局、入居者そっちのけの癒着が生んだゆがみであり、構造だったのである。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















