自然災害に備えよ 火災保険を機動的に活用 ~賃貸住宅安定経営へ~ AI解析で浸水状況を即時に把握も
住宅新報 2022年10月18日 号 7面

気候変動による台風の大型化などの影響で日本列島は毎年のように水害に見舞われる。住宅業界にとって自然災害への対応は待ったなしだ。特に賃貸住宅は、投資回収などの面から大家の対策は遅れがちだが、それを怠れば賃貸資産の価値に影響する。人口減少が本格化する中で安心を提供することが顧客争奪戦を制し、安定経営につながる。
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家主や賃貸管理会社にとっては、ハザード情報に注意を払うと共に災害への備えに追われる。まずは保険でカバーすることが常とう手段であるが、頻発する災害を背景に保険料率は毎年のように上昇し、今年10月も値上げとなる。水害による家屋などの損害をカバーする火災保険は水害リスクに応じて保険料率が決まっていく方向だ。
金融庁は今年3月に「火災保険水災料率に関する有識者懇談会報告書」を取りまとめており、損保各社が加盟する損害保険料率算出機構は、この報告書を参考にして地域ごとにリスクを踏まえながら損保各社が保険料設定の参考にする「参考純率」を算出していく。損保各社の保険料は、地域や建物にもよるが総体的に値上げが続きそうだ。
同機構によれば火災保険で水災補償の割合を示す「火災保険 都道府県別 水災補償付帯率(19年度)」は全国ベース67.8%にとどまる。
特約で資産を守る
特に築年数の経過した古い物件になるほど保険料が上がる。電気・給排水設備などが老朽化していることで火災や水漏れリスクが高いことを反映するためだ。空き家の増加に象徴されるように、賃貸住宅ストックが積み上がるとともに、築年数が古い割合も増加している。半面、新築の鉄筋コンクリート造では保険料を据え置いたり、値下げのケースもある。
災害の激甚化など被災度合いも見通しづらい。長期保険は10年間から5年間に短縮され、満期前に解約して10年物に入り直すといったテクニックは使えないが、火災保険に特約を付けることで補償範囲を拡大して安定経営の精度を上げる使い方を散見する。
例えば「建物附属機械設備等電気的・機械的事故補償特約」は、空調設備や電気設備、給排水・衛生・消火設備、エレベーターなどの不具合を補償する。「戸数が多いと一定頻度で住宅設備機器に不具合が出るため火災保険の特約で助かっている」(複数物件を運用する50代女性)。
宅地建物取引業者は、不動産取引時に水害ハザードマップを提示して物件周辺の状況を説明することが20年7月に義務付けられた。アットホームが今年8月に発表した「不動産のプロが選ぶ!『地震に備えるためにチェックすべき物件情報』ランキング」では、「ハザードマップ(災害予測範囲、避難所など)」(86.0%)がトップだ。「住む建物の立地(川が近い、斜面が近いなど)と避難所は確認しておいたほうが良い」「ハザードマップは頻繁に更新されるため、最新の情報か確認したほうが良い」などのコメントが挙がっている。
発災の予兆を捉える
住宅・不動産業界にとどまらず、防災の観点から様々な企業が知恵を絞る。応用地質やパスコ、東京海上日動火災保険など11社が参画する「防災コンソーシアム(CORE)」の分科会は、「リアルタイムハザードマップ」の開発を進めている。9月30日、防犯カメラなどの映像から浸水状況を即時把握するAI解析モデルを開発したと発表した。防災IoTセンサーやSNSなどからリアルタイムに取得する自然災害に関する情報に加え、カメラ映像から発災の予兆や状況を捉えるAI解析技術を活用する。
開発したAI解析モデルは、防犯カメラが捉えた対象物を画像から判断し、水面の位置を把握することで浸水深を解析できる。19年に豪雨被害を受けた千葉県茂原市の協力を得て、今年10月から浸水が懸念される地点に防犯カメラを設置して実証実験を実施する。併せて防災IoTセンサーを設置し、カメラ映像とセンサーデータとの連携などの実証も進める。23年度中に『リアルタイムハザードマップ』の事業化を目指す。






















