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スタンダード会員限定ひと 〝笑顔相続〟を広げたい 今年で設立10周年を迎える相続診断協会代表理事 小川実さん

住宅新報 2021年2月9日 号 2面

連載: ひと

管理(賃貸・分譲)
小川実さん

小川実さん

 20年近くも前の話だ。税理士として、ある家族と出会う。家族の仲は良くなく、会話もない。相続の手続きが淡々と進み、「寂しさを感じた。争いの場に立ち会うのでなく、同じ仕事ならば、感謝されるようになりたい」と、そう願った。

 人生の集大成の一つの形が資産で遺産。その多さや少なさは、人生の価値自体に関係ない。だが、仮にそれが少なくても「争族」に発展しがちな相続。どのように引き継ぐのか。単に資産だけではない。故人からの「心の相続でもある」。

 当初は、相続対策の重要性を知ってもらいたい一心だった。書籍の発刊やセミナーで普及に努めたが、なかなかうまくいかない。ほかの士業と連携すればどうだろう。そこで、相続診断協会を11年に設立した。想いを共有する相続診断士の資格制度を創設し、今年で設立10周年を迎える。

 相続診断士は今や、全国47都道府県に4万人超を輩出している。今後は、5万人、10万人、20万人と育成していきたい。まだまだ、有資格者が足りない。世の中に士業はたくさんいるものの、「相続」に関して詳しく、かつ的確に相談対応できる専門家は少ない。

 最近話題に上る認知症患者は更に増える。症状が悪化すると、遺言等の意思決定ができない。本人から家族、家族から本人への〝想い〟が伝わりづらくなる。だからこそ、生前に家族で一緒に「エンディングノート」に書き込んでもらう。家族のこと、資産のことを振り返る貴重な場面づくりを今後も提案していく。

 法制度の改正などにより関心が高まっている相続対策は「節税」だけではない。「家族に〝感謝〟を伝え合う大切な機会であると、皆さん受けとめ始めた」と肌で感じる。いずれは相続で「争族」がなくなるだろうと信じている。きっと、「その先には〝笑顔相続〟があるから」。  (坂元浩二)

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