知って得する建物の豆知識 280 住まいとSDGs 自治体の取り組みに物足りなさも
住宅新報 2020年2月4日 号 8面
連載: 知って得する建物の豆知識

最近はSDGs(エスディージーズ)という言葉を各所で見ますが、これは「Sustainable Development Goals」すなわち「持続可能な開発目標」という意味です。あえて、小文字のsが付いているのは開発目標17個のうち、何か一つ達成できれば良いのではなく、複数の目標がセットになっていることを示すための複数形表現です。また、この目標を達成するための行動指針として169のターゲット、その進捗を測る232の指標が設定されています。
SDGsは15年の第70回国連総会で採択された「『誰一人取り残さない』持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、30年を年限とする17の国際目標」です。包摂(ほうせつ)性などという見慣れない言葉がありますが、これは「社会的に弱い立場にある人々をも含め、市民一人ひとり、排除や摩擦、孤独や孤立から援護し、社会(地域社会)の一員として取り込み、支え合う考え方」のことです。SDGsは2001年に国連で専門家間の議論を経て策定された、ミレニアム開発目標(MDGs) とそれ以前の主要な国際会議で採択された国際開発目標を統合したものです。
17の目標は図のアイコンの通り。政府はSDGsで策定された17の目標を達成するために、8分野に分けた指針を設けています。「(1)あらゆる人々の活躍の推進、(2)健康・長寿の達成、(3)成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション、(4)持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備、(5)省エネ・再エネ、気候変動対策、循環型社会、(6)生物多様性、森林、海洋等の環境の保全、(7)平和と安全・安心社会の実現、(8)SDGs実施推進・モニタリングの体制と手段」以上が8分野とその目標です。この中で主に建築や住宅に関係するのは(4)と(5)といえそうです。(4)はアジェンダでいう11番目の「住み続けられるまちづくり」で、(5)は7番目の「エネルギーをみんなに、クリーンに」が関連しています。
政府は「住み続けられるまちづくり」への具体的な施策として「地方創生」の観点から、全国31の地域を「SDGs未来都市」に選定し、そのうち自治体SDGsモデル事業として選定された、北海道ニセコ町や神奈川県横浜市などの10地域には予算も交付しています。
北海道ニセコ町では文豪有島武郎の遺訓「相互扶助」の精神を基に、冬季の上質なパウダースノーと温泉施設を組み合わせ、民間投資の誘致やインバウンド確保を目指しています。また、神奈川県横浜市では「低炭素・省エネ」「水・自然環境」「超高齢化対応」「クリエイティビティー」「チャレンジ」などのコンセプトに細目を定め、多くの大都市が直面する問題の解決を目指す提案です。
すべてではありませんが、多くの自治体が掲げているSDGsへの取り組みを調べてみました。そこには「バイオマス」「地産(山)地消・森林育成」「人材育成」「住民参加による情報共有」と「観光的な目玉を生かした提案」が多く、刮目すべき提案は残念ながら見当たりませんでした。これらの多くは従来の地域活性化案と変わるところはなく、バブル期の箱物行政の二の舞にならないか、懸念されます。
(建築家・中村義平二)
























