空き家再生インタビュー 福田和則氏 エンジョイワークス 代表取締役 まちにプロデューサーを
住宅新報 2019年2月26日 号 6面

「活動での出会いが人生を豊かにもする」と福田社長
――取り組みの背景は。
「全国的に空き家問題が広がり、当社だけでは取り組みに限界がある。想いに共感して実践する仲間を増やし、活躍してもらえれば、各地の問題の解消に少しでも近くづくと考えた。その地域に住み、仕事などの何かしらの形でその地に関わる人たちから発信する〝ボトムアップ〟の発想が重要と考えている。それがその後の運営を含めた持続的な取り組みにつながる」
想いの積み重ね
――ボトムアップで。
「利活用で突如、新たな用途を示しても、恐らく周囲は戸惑い、まちに溶け込めない。〝これがあったら便利、欲しい〟などの地域の声を反映しなければそこに興味は持てず、親しみは湧かない。想いや考えの積み重ねによってこそ、地域の価値となる建物やまちができていくと考えている」
――地域の価値を。
「ただ、空き家の再生では、事業立案や組み立て、資金調達・収支計画、場の運営、PRなど、不動産や建築の分野を横断する。個人だけでは手掛けきれない。何から始めればいいのかも分からない。進行・促進役のファシリテーターが一人でもいれば、各地の再生利活用プロジェクトは前に進みやすくなる」
――進行役が必要に。
「できることは自分で行うが、包括的に俯瞰してプロジェクトを完遂できる人材が必要と考えている。そこで今回のプログラムを通じて、当社業務のOJTで人材を育成する。この担い手づくりは福島県西会津町商工観光課、一般社団法人BOOTと共に開発し、国土交通省のモデル事業となった。建築デザイナーやまちづくりNPO、地域おこし協力隊経験者など、25人の受講希望があり、意欲の強さを実感している」
ノウハウを伝える
――国のモデル事業に。
「初めての取り組みとなり、3月と6月に3~4人ずつを受け入れ、小規模からスタートする。当社が培ってきたノウハウを教えたい。投資型クラウドファンディングを使い小規模不特法の第1号案件となった葉山町内の藏の再生や、現在進行中の鎌倉市景観重要建築物指定の旧村上邸の利活用などで地域とワークショップを開催し、形にした実績がある。実地に学べる貴重な機会と考えている」
――実地に学んでもらう。
「一番に大事なのは、地域や人の熱量を感じられ、周囲をどのように巻き込んでいくのかだと思う。これは当社の日頃の業務でも、不動産営業や設計部門などのすべての部署の共通テーマにしている。例えば、不動産仲介業務では、物件の紹介よりも前に、まず、まちの魅力やライフスタイルを伝える。この地に住む仲間をつくり、ゆくゆくは一緒にまちを考えてくれる存在になってほしいとの願いがある」
課題から共有して
――仲間づくりを。
「本格的に参加しなくても、初めはSNSでの発信や、イベントの参加だけでもいいと思う。成功事例や完成形でなく、課題から共有して施策の方法を考える。一つひとつを解決し、小さな成功事例を積み上げる。達成のうれしさが再び一緒にやりたいという気持ちに自然となる。この体験、このプロセスの共有が、空き家再生やまちづくりを持続的なものにするために非常に重要だと思う」
人生を豊かなものに
――体験の共有。
「様々な人を巻き込み、まちの良さを改めて考えるきっかけをつくる。互いに〝自分たちのまちは自分たちで盛り上げよう〟と気持ちを高めることが、まちづくりの活動を長く続ける秘訣となる。今回育成する人材は、不動産や建築の知識を持ち、まちをよく知り、地域を盛り上げる役割を担った、かつての地域の不動産会社の姿とも重なる。まちに、人に、関心を持つ。その出会いは、人生を豊かなものにもすると思う」






















