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スタンダード会員限定全米リアルター協日本大使が来日 米国流通システムを紹介 「鍵保安庫」で省力化 内覧数、日時すべて記録

住宅新報 2011年10月11日 号 4面

管理(賃貸・分譲)

 全米リアルター協会(NAR)の日本大使を務めるジェイスン渡部氏がこのほど来日した。同氏は82年から米国で不動産事業に従事し、08年にはシアトル不動産協会の会長に就任。現在は国内の4つの業界団体との橋渡し役として、会員に米国不動産流通に関する最新情報を提供している。NPO法人日本レジデンシャル・セールスプランナーズ(RSP)協会と、全日本不動産関東流通センターがそれぞれ開催したセミナーの模様を伝える。

 中古流通が活発な米国の住宅市場。それを可能にしているのが、「取引の流れを簡略化する仕組み」(ジェイスン氏)だという。結果的に取引件数が増えるため、「消費者保護と業者のメリットが相反することはない」と強調した。

 これらを実現する手法としては、米国の売買取り引きで用いられる「ロックボックス」を紹介。これは協会が運営する、レインズと同様の物件流通システム「MLS(MultipleListingService)」が販売権を持つ鍵の保管庫のこと。各物件の玄関に設置され、買主の希望に応じて内覧する際に利用される。会員が各自の暗証番号を入力し鍵を取り出すと、MLSが管理するコンピュータに開錠者や日時、回数がすべて記録される仕組みだ。鍵の受け渡しを行う手間が省けるだけでなく、売主の仲介を務める会員にもそれらの情報が伝わるため、購入希望者の反応などを随時確認することができるという。

情報囲い込みに警鐘 「消費者のためになるか」

 「日本大使に就任した当初は、大半の聴講者が協会の活動内容を知らなかった」と振り返るジェイスン氏。この2年間で日本での講演参加者は1200人を数え、手応えを感じているようだ。一方で、取引上の問題点も指摘。1つは不動産業者の資格要件についてで、「住宅の取引に携わる業者には必ずライセンスの取得義務が課される」米国の制度に対し、「日本の場合は事務所単位で5人に1人が宅建主任者資格を有することが要件だが、(無資格の)4人分の責任を持つことができるのか」と話した。また、情報開示の姿勢にも言及。レインズへの物件登録が「どこまで徹底されているか。聞いた話では、登録しても(両手仲介を見込んで)紹介しない場合もあると聞いている」としたうえで、情報の囲い込みが「消費者のためになるだろうか」と問いかけた。

米国の不動産市況 『最悪期続く』 投資には好機 来年以降回復の兆しも

 ジェイスン渡部氏は米国の不動産市場について、「(リーマン・ショックが起きた)08年以来、最悪の状況が続いている」と語った。その根拠としては、差し押さえ物件が記録的な件数に上っていること、失業率の高さも相まって1次取得者層の購入意欲が落ちていることなどを挙げた。

 ただし、好転の兆しも出始めている。最悪期には20%台を記録した価格下落率が縮小し、直近は4~5%台で安定。売買件数も前年比21%増えているという。「世界経済動向との兼ね合いもあり、油断はできない」としつつ、「12年後半から13年にかけて安心できる状況に移行していくのでは」との見方を示した。

 また、価格が底打ちした現在の市場について、「投資するには最高の時期」と強調。実際、日本を含め海外からの投資需要が拡大しているという。国や地域による偏りはなく、法人・個人単位での動きのようだ。

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