マンション管理組合の理事長 理事会で解任可に 最高裁、初の判断破棄差し戻しに
住宅新報 2017年12月26日 号 8面
マンション管理組合の理事長を理事会で解任できるかどうかが争われた裁判の上告審判決で、最高裁第一小法廷(大谷直人裁判長)は12月18日、「理事会で選任した理事長について、理事の過半数の一致で理事長を解任することができる」との初めての判断を示した。そして「解任できない」とした、一、二審判決を破棄し、理事会の手続きの瑕疵の有無などについて審理するため、本件を高裁に差し戻した。
この裁判は13年3月、福岡県久留米市のマンションで理事長に選ばれた男性が管理業者の選定などを巡って他の理事と関係が決裂。理事会で別の理事長が選ばれたところ、男性が「理事長を理事会で解任できるとの定めは規約にない」として、解任決議の無効を訴えて裁判を起こしたもの。
この組合の管理規約では、理事長を「理事の互選で選任する」と定めているが、解任についての規定はなく、役員の選任・解任は「総会の議決を経なければならない」と定めている。
同小法廷はこの規約について、「理事の互選により選任された理事長について、理事の過半数で理事長を解任し、別の理事を新理事長に決めることも、総会で選任された理事に委ねる趣旨と解することができる」と判断した。5裁判官全員一致の結論。このマンションを含む多くの管理組合が国土交通省作成の標準管理規約に準拠しており、同規約には理事長を解任することができるとは記されていない。
一審判決は規約に理事長の解任の規定がないことから、理事会で決められる項目に理事長の解任は含まれていないとして解任は無効とし、二審判決もこれを支持していた。
マンション管理士で、多くの管理組合の顧問となっている桃尾俊明弁護士 最高裁の本件判断は常識的であり実務にも即したものである。区分所有法が管理組合の組織体制の具体化を規約に委ねており、それを受けた標準管理規約やそれに準ずる上告人管理組合の規約が「誰を理事長にするか」を理事の判断に委ねているという構造から、本件判断が自然な解釈として導かれるはずである。
「理事相互間における役職の決定」という本件の問題と「役員(理事・監事)の選任・解任」という別次元の問題とを混同しているという点で、原審には大いに疑問を感じている。
なお、本件判断が実務に与える影響は大きくないと予想する。なぜなら、理事会における理事長解任(解職)は上記理解に基づき既に実務上広く行われており、本件判断はそれを確認するものに過ぎないからである。逆に言えば、原審の判断が確定していれば実務上確実に多大な混乱が生じていただろう。






















