民泊とマンション管理規約 攻めるには、そして守るには (下) 管理組合、早めの動きを
住宅新報 2017年9月26日 号 1面
間に合わないときは
住宅宿泊事業法が施行される3カ月前には事業者登録が開始されるが、それまでに民泊禁止などの管理規約の改正と間に合わないケースも考えられる。パブコメでも、「法令施行に管理規約の改正が間に合わない場合の対応や考え方について明らかにしてほしい」という意見があった。
これに対し、同省は、「住宅宿泊事業法の実際の運用に当たっては、届出の際に、民泊を禁止する旨の管理規約などがない旨を確認したい」とし、「管理規約の改正までには、一定の期間を要することから、管理規約上に民泊を禁止するか否かが明確に規定されていなくても、管理組合の総会、理事会決議を含め、管理組合として民泊を禁止する方針が決定されていないことについて届出の際、確認する予定としている」と回答している。
実際にどのように確認するのか。弁護士でマンション管理士の桃尾俊明氏は、「率直な感想としては、本当かとも思う。適法な届出がされた場合に管理組合が理事会で禁止方針を決議しているから民泊を認めない、というような判断ができるのだろうか」と疑問を呈す。とはいえ、「国土交通省がコメントしている以上、民泊を禁止したいけれど規約改正が間に合わない管理組合は、とりあえず理事会決議をして、議事録に正確、丁寧に反映させておくべき」とアドバイスする。民泊を禁止したい管理組合にとっては安心できるのではないだろうか。
駐車場使用など
ここまで、今回の改正のキモといえるマンション標準管理規約12条について見てきたが、他の項目にも改正点はある。例えば、宿泊者が利用する可能性のある駐車場の使用もその一つだ。
駐車場の使用については、規約15条に規定しており、3項で、「区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者または第三者に譲渡または貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う」とある。これについて、コメントを改正し、「3項は、家主同居型の住宅宿泊事業を実施する場合は、対象としていないと考えられる」とした。この点についてパブコメでの意見で、家主同居型の宿泊事業を実施する場合以外だと、仮に1日だけ民泊させる場合でも、駐車場使用契約は効力を失うと解釈できるので、変更が必要ではないかというものがあった。同省では、「家主同居型とは、家主居住型のうち、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用している専有部分において宿泊させる場合と定義して」おり、そうした事業を行う場合でも、「自己の生活の本拠として使用する限りは、駐車場使用契約は効力を失わないことを確認した」ものとしている。したがって、家主同居型以外の形態の民泊における駐車場使用は、自己の生活の本拠としての使用には当たらないため、効力を失う可能性がある。
ところで、民泊事業を行う場合、住宅宿泊事業法13条の規定に基づき、届出住宅ごとに見やすい場所に標識を掲げる必要がある。この点について、当初規約18条コメントで、4項を設け、「『標識の取り扱い』について、あらかじめ使用細則において明確化しておくことが望ましい」とされていたところ、標識に氏名などの掲載を強制されると、住宅宿泊事業法よりも厳しい規制になるなどの意見が出た。同省では、「標識の様式などは同法に基づく省令で規定されること」とするとともに、4項コメントは、「同法の標識掲示義務を果たすために使用細則の改正が必要である場合に対応を促すもの」であったとし、標識の取り扱いではなく、標識の掲示場所などの取り扱いであると修正した。
宿泊者の誓約書は
管理規約19条では、区分所有者が専有部分を第三者に貸与する場合、規約や使用細則に定める事項を順守させるため、誓約書を管理組合に提出することとしている。この点について改正コメントでは、民泊事業を始める場合は、管理組合に届け出ることや宿泊者などからの誓約書については、提出義務を免除する旨を規約に定めることも考えられるとした。
◇ ◇
民泊に対応あるいは対抗するためには、規約にこれまで提示した項目などをしっかり書き込むと共に、状況によっては使用細則に付記して、各管理組合の状況に沿った対応が必要となる。とにかく、自らの管理組合が主体とならないと事は始まらない。来年にも施行される住宅宿泊事業法に対応するには、今から動き始める必要がある。






















