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スタンダード会員限定首都圏・春の賃貸繁忙期 件数減も、市況に光 アパート新築、中古共に増加

住宅新報 2017年5月2日 号 1面

管理(賃貸・分譲)
過去5年の3月賃貸成約件数の推移右肩下がりとなっている賃貸物件成約数だが、カーブが平行に近くなっていることが分かる

過去5年の3月賃貸成約件数の推移右肩下がりとなっている賃貸物件成約数だが、カーブが平行に近くなっていることが分かる

13カ月連続減も

 アットホームの調査によると、17年春の繁忙期(16年12月~17年3月)における首都圏エリアの賃貸成約件数は9万4605件だった。16年の9万7980件と比べて3.4%減。調査直近の3月の賃貸成約件数は3万128件(前年同月比0.5%減)で、13カ月連続減。この数字だけを見ると落ち込みが継続しているようだが、減少率はこの13カ月で最も低くなっている。

 不動産会社に聞くと、客足は「客全体の数は少なめ。ピークは1月後半から2月末頃まで」(東京・狛江)、「客足は例年通り。ピークは1月から3月」(神奈川県・上大岡)と例年より早めの動きが目立つ。また、客足が少なくなったと回答する会社が多かったが、「ネット経由の客が多いため、そもそも来店数は少なくなっている」(東京・狛江)という。

 そうした中、アットホーム業務推進部シニアリサーチャーの岩田紀子氏によると、「低迷していた賃貸市況に光が見えてきた。それがアパートの動き」だという。3月のアパートの成約数は、首都圏全体で新築が前年同月比で15.9%増、中古が同2.3%増となっている。特に30m2未満のシングル向き、30~50m2未満のカップル向きが増加しており、新築・中古別に見てもアパートのシングル・カップル向きは共に増加と好調だった。

 岩田氏は、「シングル向きはこれまでも相続税対策として建てられてきたので増加傾向だったが、カップル向きも増加してきた。明るい動きとみている」とする。

 更に、引っ越すなどの動きが出てきたという。「これまでは、更新更新ばかりで、賃料も動かないし、付帯する費用も発生しない状態が続いていたが、ようやく移動、引っ越す人が多くなってきた。これも明るい動きと見ている」(同氏)。このため、特に、ゼロゼロ物件など初期費用が安い物件のある会社が人気だという。

 また、法人需要も景気回復の表れからか、少しずつ増えているとし、「借り上げ社宅が増加している」(同氏)。

回復基調、定着するか

 せっかく見えた光だが、果たして回復基調がしっかりしたものとなり定着していくだろうか。岩田氏は、「まだ数カ月の数字を見る必要がある」とする。「市況回復には消費者心理が大事で、景況感がやや上向きつつある今なら回復すると思いたい。しかし、政治情勢が不安定になってきており、それいかんでは、気持ちがしぼんで、市況が低迷する可能性もある」。

 もう一つの不安が、アパートローンについて。シングル向きアパートの好調は、相続税対策のためにオーナーが金融機関から資金を借りて建設する方法が支持されているからだが、空室増加や想定を下回る収益などにより問題視されている。この3月、日本銀行は「考査」(今週のことば)方針を発表し、賃貸不動産向けを中心とする不動産関連貸し出しなど金融機関が与信姿勢を積極化させている分野や地域については、事業の将来性を適切に見極めているか、取り組みの採算性を組織的に検証しているかなども点検するとしている。 もし、融資の締め付けが行われたとすると、アパート建設に影響が出て市況にも響く可能性がある。

 賃貸市場の業況について、同氏は、「ネット戦略、特にスマートフォン(スマホ)による検索に応えられる体制をとること」が大事という。スマホ検索で物件を調べて、来店する客が非常に多くなっていて、そこで物件が乗ってこないと、スタート台にも立てない状況なのかもしれない。

顧客対応が大事

 また、併せて大事なのが、社員の対応だ。昔のように多くの客が来るのではなく、物件を厳選した少数のお客が対象になる。そこで接客対応を間違えると、契約に結びつかない。物件内容だけでなく、会社の対応が重要ポイントだということを不動産会社には再認識してほしい。

 今回、当社が調査した不動産会社でも、「春商戦に臨むため、接客態度を改めて心掛ける制を整えた」(東京・菊川)という意見があった。こうした姿勢はこれからもっと重要視されるだろう。(家賃については、5月9日号で当社家賃調査を掲載します)

 

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