紙上ブログ 不動産屋の独り言 396 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 壮絶な苦労を背負ったお客様 できるだけの配慮をしたい
住宅新報 2017年4月4日 号 7面
都内の貸家に引っ越しの立ち会いに行ってきた。入居期間は4年ちょっとだが、室内の壁や建具には何カ所も穴が開いているしガラス襖の桟も折れていて相当に荒れていた。事前に奥様から聞いてはいたが想像以上。後で知ったことだが、なぜそんなことになっているかといえば、23歳になる一人娘が境界性人格障害(ボーダーライン)、多重人格のような病で、ひとたび何かでスイッチが入ると凶暴な人格が現れて、家族や物に当たり散らすんだとか。土壁にめりこんだ穴が、その衝撃の強さを物語っている。家族は生きた心地がしなかったろう。
いつも弁償
実は、離れたところに住んでいる家主さんが貸家の前を通りかかった際、壁に「ここで立ち話をしないでください」という貼紙があるのを見かけて、私に「奥さんは異常に神経質な人なのかなあ…」と心配して電話してきた。私も、娘さんの話を聞くまでは「そうなのかな」と思っていた。契約時にもそういう話は出なかったから。これも後で分かったことだが、何回か部屋を借りて、退去時にはいつも修理代を弁償してきていたとのこと。最初から娘さんのことを正直に打ち明ければ部屋を借りられなくなってしまうことから黙っていたと思われる。だが、管理会社からすれば辛いことだが仕方ないことだと思う。当方としてはちゃんと原状回復費用を負担してくれれば文句はないし。






















