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スタンダード会員限定東京調布・東洋エステートの空室対策 「提案」に明確な「理由付け」 今後の賃貸管理、「在り方」模索 事業再生、資産をプロデュース

住宅新報 2016年3月1日 号 7面

管理(賃貸・分譲)
  • 新規事業の概要について説明する安藤部長

    1 / 2新規事業の概要について説明する安藤部長

  • 壁面に〝魅せる本棚〟を設置するなどして「事業再生提案」を行った。「入居者即決」という結果となって表れた

    2 / 2壁面に〝魅せる本棚〟を設置するなどして「事業再生提案」を行った。「入居者即決」という結果となって表れた

 「オーナーも、本当の意味での〝提案〟を待っていたのだと思う」。事業再生プロジェクト「ZERO+」の責任者である第2営業部・安藤貴弘部長はしみじみと語る。

単なる「提案」のみ

 今年6月に30周年を迎える同社。1都3県で約7000戸の賃貸物件を管理している中で、当然ながらこれまでもオーナーに対する「空室対策提案」は行ってきた。ただ、その内容は入居者像の絞り込みや物件コンセプトをしっかり定めないままの「単なるリフォーム提案」。そして、賃料の減額提案も普通のこととして行ってきた。

 あるオーナーには、外壁の塗り直し提案を行い、いざ住戸改修工事に移ろうとしたところ「資金がない」と工事がストップする事例があった。「優先順位の決定やしっかりとした打ち合わせを行わないままの、本当にダメな提案だった」(安藤氏)。結局空室状況は改善されず、オーナーには外壁塗り直しの費用負担をかけたにも関わらず「賃料減額」をしてもらわざるを得なかった。

 同社は2年前から、空室対策提案を行うにあたって、まずは市場調査や見込まれる入居者像の絞り込みをしっかりと行うようにした。その上で、空室改善のために必要となる改修内容やそのための費用・工程、そして、想定される入居者の生活シーンや暮らし方、その暮らしの実現には何が不足しているかなど「暮らし方の提案」にまで踏み込む内容を、オーナーにレポートとして提案するようにした。

 レポートを見たオーナーは、「何なのこれ、とまずは驚く」と安藤氏は笑う。「今まではリフォーム改修の見積書が〝提案書〟だった。オーナーも新築物件を建設する時以外で、このようなしっかりとしたレポートを見ることはないと思う」(安藤氏)。その中にはもちろん、改修後の事業収支の解説も入っているが、そのプランも数パターン用意するなどオーナーのニーズに細かく対応できるようにしている。

目的は何か?

 「改修ありき」ではなく、「空室改善のために必要な改修」であるため、時には住戸内ではなく、外構部分のみのリニューアル提案だけで済む場合もある。そこが、「単なるリノベーション」ではなく「事業そのものの再生」と評価されるゆえんだ。「資産(物件)管理を任されているプロとして、オーナーにとって何が最適なのかを第一に考えるようにしている」(同)。

 2年前から徐々に取り組み始め、これまでに20件の「事業再生」を手掛けることに成功した。昨年の「ブランディング化」により、会社としても一つの大きな柱、〝売り〟にすることを決定した。「ここまでしっかり提案してくれるなら大丈夫。任せるよ」と信頼して依頼するオーナーの声が、どんどん聞かれることになるに違いない。

入居者「即決」の改修

 同社は、東京・京王線多摩センター駅を最寄りとする賃貸マンションでこのほど、「ZERO+」を手掛けた。

早期対策で提案

 ハイスペック仕様であるため、相場よりも1.5~2万円割高な賃料設定のシングル・DINKS向け物件だ。総戸数44戸で稼働率95%と順調だが、「築8年経過して、以前よりも契約スピードが落ちつつある」(安藤部長)といったことから、早期の対策を目的に実施したものだ。賃料はそのまま維持することを前提に、主なリニューアルとして提案した内容は次の通り。

 「キッチンカウンター天板の仕様変更(木調素材)」「浴室シャワーヘッドの交換(メタル仕様)」「浴室のアクセントパネル貼り(鏡も設置)」「バルコニーのウッドデッキ化」「玄関クロスの変更(パネル式)」「居室壁面への棚やボックス設置」。掛かった費用は約70万円だ。

これまでとの違い

 同社の以前までのリフォーム提案と異なるのは、一つひとつの提案に明確な「理由」があることだ。浴室を重点的に改善するのは、入居者アンケートで唯一と言っていい「不満箇所」が浴室だったからだ。また、玄関クロスのパネル化は、靴の脱ぎ履きの際に寄りかかってできる「手垢」を今後は付きにくくするため。そして、壁面への棚やボックスについては、他社物件で好評を得ていたからだが、それを単に模倣した訳ではない。

 入居者へのヒアリングで読書愛好家が多いことが分かり、また、入居者属性などを考えれば〝魅せる本棚〟の設置がベストと結論づけた。〝魅せる〟といった要素があるため、それに耐えうるものかどうかを実際に見て回って商品を決めた。使い勝手の観点から、可動式であることにもこだわった。

 同社では、今回の事例を「テストケース」と位置付けて、様々な入居検討者から多くの意見を聞く場にする方針だった。今後の提案活動の大きな参考になるからだ。しかし、この空間に魅力を感じた入居希望者が即決で契約。「嬉しい悲鳴。生の声を聞く機会が減ってしまった」と安藤部長は苦笑いを浮かべる。

    ◇   ◇

 なぜこの改修が必要なのか、なぜこのプランに変更するのか。一つひとつの内容をしっかりと考え、理由付けした上での提案。そのためには、ゼロからすべてを見直し、調査・検討を重ねて必要なものをプラスしていく作業が必要になる。それが同社の「ZERO+(ゼロプラス)」だ。

 賃貸オーナーの資産をプロデュースする「プロ」としての仕事は、始まったばかりだ。

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