越谷ファミリータウン 埼玉県越谷市 〝自衛団〟発足し皆で見守り支える 近所づきあい促進に隣人会も
住宅新報 2016年2月23日 号 6面
連載: マンション管理の現場から
越谷ファミリータウンでは95年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに、「自分たちのマンションでも万が一のときに備える必要があるのでは?」という話が出たといいます。そこで当時の管理組合と自治会で1年間協議し、96年6月に自主防災組織として「自衛団」を発足しました。組織は管理組合理事と自治会役員、各棟から3~5人の参加で構成し、任期は2年。活動内容は、毎年秋に実施している防災訓練の実施と南越谷地区総合防災訓練(毎春実施)への参加、夏・冬休み期間の敷地内での夜間パトロールなどです。
最大の目的は災害時の居住者安否確認です。これは阪神淡路大震災直後に現地で行っていた住民同士の安否確認作業を参考に、広範囲ではなく小回りが利く「向こう三軒両隣」のイメージで各階4~8戸を1ブロック単位とし、最低1人の自衛団員を配置しました。年2回の防災訓練の際に、この安否確認方式に基づいた安否確認訓練も実施しています。訓練では自衛団員が中心となり、各フロアの安否確認を行った後、棟単位で確認人数を集計。安否確認中に発見したけが人の搬送や応急処置なども模擬体験を行うようにしています。
自衛団では、ブロック構成の見直しなど細かな調整を加えながら発足当時の基本活動マニュアルに沿って活動を行っていましたが、11年3月の東日本大震災のときに問題が発生しました。平日午後というタイミングだったため、居住者の在宅率が低かった上に自衛団本部役員も勤務中で不在者が多く、また通信規制が入り団員同士の連絡が取りにくい状況となってしまったのです。幸い混乱もなく被害もほとんどありませんでしたが、「訓練と実際の災害時では想定外のことがあることを痛感しました」(自治会長)。その後対策を協議し、震災発生時に災害対策本部長が不在の場合は在宅している本部役員が協議し、迅速に自衛団員に指示を出す体制にマニュアルを改訂しました。
また、自衛団では、個人情報保護の観点から管理組合・管理会社で管理している居住者情報を利用することができません。そのため自治会では年2回の自治会費徴収の際に入居・退去と家族構成などをヒアリングし、自衛団員が把握している要援護者や居住者人数などの情報も盛り込んだ形で任意の〝住民台帳〟を作成しています。
活発なコミュニティ活動が行われている越谷ファミリータウンですが、築年数が古いこともあり、他マンションと同様に居住者の高齢化は避けて通れない問題です。高齢者の孤独死が社会的問題として指摘され始めた7年ほど前の08年、D棟の居住者有志が「ご近所同士の助け合い」を掲げ、「隣人会」を発足。同マンションに転入してきた居住者の1人が「遠くの親戚より近くの他人」という発想で、隣近所の居住者との交流会の場を設けたことがきっかけでした。月1回集まりランチやおやつを食べながら会話を楽しんだり、ときには近隣に出かけるなど身近な交流会として活動していました。
一方、管理組合や自治会では東日本大震災後、「孤独死の防止や高齢者の日常的な安否確認をどうしていくか」を考え、民生委員や自衛団も交えた協議を重ねていました。自衛団とは別に「見守り隊をつくる」などの話も出ましたが個人負担が多くなるため、「もっと気楽で参加するのが楽しいような形はないか」と検討していたときにこのD棟隣人会が話題となり、すぐに各棟で発足することが決定。12年3月にC・B棟で、同年6月にA棟で隣人会がスタートし、現在では月1回ベースで開催される茶話会や料理教室、工場見学などに、毎回20~40人が参加しています。参加費も1回100~200円ほどで、自治会からも2万円の補助費用を支給しています。今年で3年目を迎え、参加者からは「この会に参加してご近所さんの顔が分かるようになった」「一人住まいでなかなか外出しなかったが、お茶を飲みながら、食事をしながら話をするのが楽しい」などの感想が聞かれるようになったといいます。まだまだ参加者が少ないのが課題ですが、「趣旨を理解してもらえれば徐々に参加者も増えるのでは」と期待しています。
(取材年月15年7月)
【マンション概要】
建物名/越谷ファミリータウン▽所在地/埼玉県越谷市▽階数/地上5~8階建て・4棟▽総戸数/692戸▽竣工年/82年▽管理形態/委託管理▽管理会社/三井不動産レジデンシャルサービス(株)▽総会開催/毎年6月▽役員数/理事23人、監事2人▽役員任期/2年(1年ごとに半数改選)
























