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プレミアム会員限定紙上ブログ 不動産屋の独り言 323 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「表具屋さんに名刺を作ってあげた」 心づかいも不動産屋には必要

住宅新報 2015年10月20日 号 7面

連載: 不動産屋の独り言 〜賃貸現場の喜怒哀楽〜

管理(賃貸・分譲)

 うちの事務所の家主さんが長くクリーニング店の取り次ぎをしていて閉店し、その後にネイルサロンが入った話の続編。

 といっても、オープンした後の話でなく工事中の話。家主さんには古くから付き合っている大工さんがいるが、テナントに関しては「自分の付き合いのある大工さんを使ってくれ」などとは言わないので、借主さんが親しくしている業者さんが入って工事をしていた。

感じのいい職人さん

 当初は3日に一度ほど、開店間際は毎日、大工さんと表具屋さんが作業しに来ていた。私もあいさつしたが、どちらもとても感じのいい職人さんだ。

 ネイルサロンの店長のお母さんである社長は当社の大切なお客様でもあるので、その仕事を請け負っている職人さんたちもまた当社にとっては大切な人たち。少しでも気分よく「いい仕事」をしてくれたなら私も嬉しい。それで、職人さんの姿を見かける度に、私はいつも缶コーヒーを差し入れしていた。そんなある日、まだ表具屋さんのお名前をうかがっていなかったので聞くと、「すみません、名刺がないのでメモします」とのこと。たまたま持ち合わせていないのではなく、作っていないようだった。ご高齢ではなく、年齢は40代半ばくらいだから名刺を持っていないのが不思議である。いくら工務店の下請けだけしているといっても、名刺がないのは不便だろう。

 そこで、本人には何も言わずに、書いてもらったメモを元にパソコンで名刺を作って差し上げることにした。といっても、私にはできないので家内に頼んで作らせた。

わずか40分で

 最近は名刺を印刷業者に依頼する人や企業はほとんどないだろう。うちも例外ではなく、用紙はしっかり在庫がある。家内に言えば30分くらいで作ってくれる。店と自宅は徒歩3分だから、製作時間と往復とで40分もかからない。

 どのくらい使うかは不明だったので、とりあえず50枚印刷して、出来上がった名刺をまだ作業中の表具屋さんに届けると驚いていた。たまたま名刺入れが余分にあったのでそれも一緒に差し上げた。その話がもしもお客様である社長の耳に入ったなら、社長はきっと自分の事のように喜ぶと思う。そういう人だから。

  (坂口有吉不動産・社長)

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