紙上ブログ 不動産屋の独り言 283 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「3歳から知る娘さんの部屋探し」 儲けはないが納得の仕事
住宅新報 2015年1月6日 号 6面
何回か紹介させていただいた娘さんの話の続編。
母親が病死したため、兄二人と借りていたアパートを退去し、それぞれ独立して暮らすことになった。お兄さんは仕事の関係で遠方に引っ越すことになり、一人は静岡、一人は都内に移転したが、末の娘さんは私の店で部屋探しをさせていただくことになった。
長いお付き合い
年齢は25歳だが、3歳くらいの頃から母親に連れられて当社に更新契約に来ていて、私との付き合いは20年以上になる。同じアパートの2部屋を1年違いの契約期間で借りていただいていたので毎年1度は来店していたし、互いによく知っている。
私が「一緒に食事しませんか?」と連絡すると、いつも何のためらいもなく「はい、お願いします」と言ってくれる。お母さんも、私と食事に行くことは何も心配していなかった。遠方の有名なフレンチレストランまでお連れしたこともある。性格が素直で、信じればとことん信じてくれるのが嬉しい。
今回の部屋探しの途中でも、合計5回も一緒に食事した。もちろん、いつもランチ時に来てもらっていたので部屋だけ見せてお帰りいただくのもナンだし、いちおう誘ってみるのだが、一度も断られなかった。
その娘さんに本命物件として紹介したかった物件は私の中で決まっていたが、一件だけ案内して「これにしなさい」と言うのもナンなので、比較と納得がしやすいよう、検索で出てきた40件くらいの候補の中から私が7~8件に絞り、本人と相談しながら案内し、最終的に私のイチオシの物件で決めていただいた。
安くて広い物件
実は、その物件、以前住んでいた人が室内で病死していて、それで賃料が低く抑えられていたのと、まだ十分に使える冷蔵庫と全自動洗濯機が残されていて、日当たりもよく広いというのがお奨めポイントだった。
更に、家主さんがとても良心的な方だと知っていた。ただ、お風呂の掃除が不十分だったので当社から業者を行かせ、更に鍵を交換してあげることにした。
5度の食事と掃除代、それに鍵交換費用で、当社が手にする仲介料はほぼ消えてしまうが、私はまったくかまわない。
(坂口有吉不動産・社長)






















