紙上ブログ 不動産屋の独り言 265 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「ネット重説解禁の流れに危惧」 両刃の剣、判断は慎重に
住宅新報 2014年8月26日 号 6面
宅建業法の重要事項説明の方法について、ネットでの重説を解禁する方向で検討されているとか。当社にもアンケート依頼があって、賛成か反対かを問われたが、正直、微妙である。
IT環境がすこぶる進歩していて、どうしても目の前での本人確認が必要な運転免許証の更新やパスポートの受領、病気の際の診察などを除けばネットでほとんどが間に合うし、ネットで手に入らないものはないほど。国の将来を決める選挙の投票でさえネット投票を解禁する動きもあるが、私は危惧している。
便利さの追求で…
ちゃんと資格を持っている取引主任者が対面で説明しないなら、顔が見えないのだから取引主任者という資格のない事務員が作業しても事足りる。要は、何かトラブルが発生した際に取引主任者が責任を負わされるのであれば今までと何ら変わりない、と言えなくもないが、便利さを追求していくと不正もまた入り込む余地ができる、ということ。
確かに、不動産業者もお客様も負担が軽くなるのは事実だし、今までだって賃貸での法人契約の際にはすべてのケースにおいて対面で重要事項説明を行うのは困難なケースも多い。不動産業者が借主の本社を訪れて担当者に説明する、ということをすべてにおいて行うのは現実的には困難だし。
両方の重説が必要か
それより、不動産業者とお客様の負担を軽くする、ということなら先に改善してもらいたいことがある。
厳密に言えば、現在は契約に関わったすべての業者(元付業者と客付業者)がお客様に対してそれぞれに重説をしなければならないことになっていて、確かに、両方で重説を受ければ責任の所在も明確で間違いも起きにくくはなるだろうが、どちらか一方の業者、常識的には管理会社に対して義務付ければ済む話であろう。その方が現状とマッチした内容になる。
我々の業界には、現状と法律が適合していないケースが多々あるように思う。ネット重説解禁は、取引主任者の資格制度の意義にも関わり、両刃の剣になるものだから、慎重に判断していただきたい。
(坂口有吉不動産・社長)






















