紙上ブログ 不動産屋の独り言241 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 「紹介で来社した同居希望の兄妹」 睦まじい仲の良さに好感
住宅新報 2014年3月4日 号 6面
店番をしていたら、男子大学生と母親が入ってきた。第一印象からとても感じが良い。「どなたの部屋探しですか?」と聞くと、母親が「この子と妹が一緒に暮らせる部屋をお願いします」とのこと。兄の方は既に大学生で、妹が今度大学に入るので、それを機会に家を出て、兄妹で一緒に暮らすことにしたとか。
珍しい兄妹同居
それは非常に珍しいことである。これが姉妹とか兄弟なら話は別だが、たいていは兄と妹という組み合わせならどちらも嫌がるもの。だが、そんな気配は全くない。それどころか、「妹さんが見ないでお兄ちゃんが決めちゃって揉めない?」と聞くと、「僕と妹の好みは似ているので、僕が決めてしまっても何も問題は起きません。大丈夫です」と言い切る。お母さんもそばでうなずいている。
日を改めて案内することになり、その時は妹さんも一緒に来てくれた。なるほど、聞きしに勝る兄妹仲の良さである。7、8件の候補物件を用意していたのだが、当社で私も交えて相談した結果、実際に案内したのは1件だけ。案内したら2人とも気に入ってくれ申し込みをしていただいた。その案内の最中、兄妹の様子を見ていたら、知らない人が見たなら絶対に恋人同士にしか見えないだろうな、と思った。
兄妹が凄く仲良しなのはワケがあった。両親がずっと不仲で、近々離婚するとのことで、兄妹が協力して母親を支えていたかららしい。母親に対してだけでなく互いに思いやっているのが実によく分かる。
私にも子供が3人いるが、本人のいないところでは互いに非難ごうごうである。これじゃ私がいなくなったらどうなるか、今から不安になるほどである。思えば、私が離婚した時の次男と末娘の年齢と同じでもある。
照明をプレゼント
この兄妹のためなら、どんなお役にも立ちたいもの。とりあえず、店にあった照明器具を差し上げることにした。ところで、「どうして当社に飛び込んだの?」と聞いたら「先輩のSさんが以前こちらで部屋探しをしてよくしてもらったから、と紹介してくれました」とのこと。申し訳ないことに、私はよくある苗字のSさんに心当たりはなかったが、ともかく紹介者の顔をつぶす結果にならなくて安堵した。 (坂口有吉不動産・社長)






















