建物を建てるには、設計図面が必要です。しかし、設計図という概念は明治期に西洋建築が日本に輸入されてから生まれたもので、それ以前は大工棟梁の頭の中に完成図があり、そのイメージに従い職人が建物を完成させました。
構造などをイメージで伝えることは難しいので、大まかな柱の位置や梁の掛け方を描いたりはしましたが、細かい納まりの整合性よりも、キリの良い数字を重視した『完尺制』というものでした。単純であるが故に、棟梁がテーマを示せば職人は一を聞いて十を知ったのかもしれません。
西洋建築は、設計図に基づいてそれぞれのパートが動くため、図面が非常に重要になります。当時の建築家はコンパスや三角定規を使い、薄い和紙(美濃紙)に図面を書きました。セロテープのような便利なものはなかったので、作成は、製図板の上に美濃紙を『水張り』することから始まります。これは美濃紙に霧吹きで湿気を与え、湿っているうちに製図板にニカワ糊を塗布した紙テープで止めることです。乾燥すると、紙はピンッと製図板に張り付けられます。























