60歳からの住宅ローン【リ・バース60】累計申請件数1万件突破

様々な不動産情報が盛り沢山!

スタンダード会員限定中古流通促進へ異業種連携 各協議会が多彩に展開 国交省の補助事業

住宅新報 2012年12月11日 号 1面

管理(賃貸・分譲)
  • 福岡市で開かれた講習会

    1 / 2福岡市で開かれた講習会

  • 古民家の流通も事業対象

    2 / 2古民家の流通も事業対象

 中古市場の活性化を目指す国土交通省の補助事業『中古不動産流通市場の活性化に関する調査検討業務』に選定された全国12の団体が、取り組みを本格化させている。各団体は7月に選定され、今秋にかけて相次いで発足。仲介業やリフォーム業など異業種による連携体制を軸に、それぞれ特色を打ち出した活動を展開している。年度末に成果報告を行い、国交省はそれを基に次年度以降の事業に反映させる考えだ。利害や意見の調整といった点で難しさもあると考えられるが、当事者からは「市場拡大に向けたコンセンサスが取れつつある」といった手応えが聞かれる。団体の近況をいくつか紹介する。

 12団体の中で最大規模を誇る、首都圏既存住宅流通推進協議会(西生建代表)。傘下の企業は約3万社に上る。東京都・神奈川県の宅建協会のほか、加盟会社を募って中古住宅流通事業をネットワーク展開しているリニュアル仲介(東京都新宿区、西生代表)やリノベる(東京都渋谷区、山下智弘代表)といった企業が参画していることもあり、中小規模の仲介業者が目立つ。そこで同協議会では、まず中古市場活性化に対する認識を共有することに力点を置いている。

 西生代表はフォーラムや講習を通じて、市場のポテンシャルの高さを説く。人口減や住宅ストックの余剰などが根拠だ。そして、同時に「仲介業が〝物件紹介業〟に終始し、消費者ではなく自社の利益を優先する風潮がある」(同)現状も指摘する。

 こうした問題点を克服しつつ、リフォームとセットでの中古購入という選択肢を広めていく必要性を強調。その際、「購入してから売却するまでに、資産価値の落ちにくい住宅を提案すること」(同)が重要だとしたうえで、仲介業者に対しては〝建物以外〟の情報を買主へ開示する役割を期待する。 

 これを実務に落とし込む手段として、協議会では『既存住宅アドバイザー』の認定制度を立ち上げた。講習を通じて、耐震基準適合証明書の発行の可否といった判断ができる知識を身につけてもらう内容。受講者には登録証を発行するほか、専用の調査ツールを提供する。

 また建物部分に関する情報提供の担い手には、瑕疵保険の付保に係る検査を手掛ける『既存住宅インスペクター』を想定し、その育成にも取り組む。10月末に初めて実施したアドバイザー・インスペクターの両講習には、定員を上回る延べ270人が参加した。13年は更に、福岡・名古屋・大阪会場で実施する予定だ。

九州 選択制サービス インスペクションを開始

 取り組みが進んでいるとされる団体の1つが、九州・住宅流通促進協議会だ。現時点で、福岡県や大分県を始めとする5つの宅建協会のほか、不動産鑑定士やリフォーム事業者、金融機関などが参画。中古購入に関連する様々な付加価値メニューを用意し、消費者に選んでもらう〝選択制〟のサービスを構想している。

 第一弾として、11月からインスペクション(建物診断・検査)の提供を開始した。実例はまだ出ていないが、周知活動と併せて取り組んでいくという。

 また、消費者との窓口となる仲介業者の役割を重視し、そのサポートに力を入れる。現在、中古住宅購入の利点や各種メニューを記載したパンフレットを製作中だ。「中古流通促進の鍵は、仲介業者が仕事しやすい環境をいかに作るかが握る。それが、消費者にとってストレスのない住宅取得につながるからだ」(事務局)

四国 唯一の定借活用 古民家再生・取引を促進

 四国中古住宅流通促進事業協議会(四国連携)は12の協議会の中で唯一、定期借地権・定期借家権と古民家再生に取り組む。

 「低所得、終身雇用の破たんなど厳しい時代だが、住宅だけは快適に暮らしたいとの思いは強い。それを実現するのが期間60年の定期借地権付き住宅だ」と語るのは四国連携事務局担当理事の松野誠寛氏。

 四国には古民家が数多く残っているため、その再生に取り組む。一般社団法人住まい教育推進協会の認定資格「住育検定」の普及促進も目指す。このほか、使われていない中古住宅の優良物件化も目標としている。

 中心プレイヤーは、四国4県の宅建業者。不動産コンサルタント、不動産鑑定士などの専門家らと連携し、中古住宅を仲介する際の境界確認、建物のリフォーム、ホームインスペクションなどを行い、安心・安全の取引を実現していく。

奈良 建築業者が活躍 直発注でリフォーム

 奈良県の建築・住宅支援センター協議会は、主に建築業者の力を生かす観点から制度設計を進めている。

 同協議会には宅地建物取引業協会と全日本不動産協会の県支部、建築士会、建築共同組合、金融機関、瑕疵(かし)保険法人などが参画しており、異業種が協力して中古流通のワンストップ・サービスを提供する点は他と共通だ。建築業者には具体的に、『インスペクション』と『リフォーム』業務を割り振る。

 インスペクションについては、首都圏協議会と同様の認定制度に着手。受講後に瑕疵保険の検査員登録を可能とする、『既存建物インスペクター』を養成する。「『建築のプロ』が担うのが適当」(若井繁敏理事長)との考えに基づくもので、建築士資格の保有者が対象だ。

 12月16日に初の講習を行う。募集開始から1週間で約30人の応募があり、「『(認定後は)名刺に記載できるか』といった問い合わせも多い」(同)という。

 また、リフォームの実施に当たっては、請負業者を通さず工事ごとに職人へ業務を直接発注する『直営工事』の標準採用を検討中だ。買主の費用負担を減らすと同時に、職人の雇用機会を増やす狙いがある。

 今後は県北部の『飛鳥・平城京』、同南部の『橿原・明日香村』に分けて部会を立ち上げ、それぞれの地域特性に即して古民家などを扱う体系を構築したい考えだ。まだ事業化には至っていないが、若井氏は「小さなビジネスで終わらせず、奈良県全体の活性化につなげることが目標。じっくり、焦らず取り組みたい」と話す。

 首都圏協議会の西生代表は、「各業界団体などと協議の場を増えたことは、予想外の収穫。市場活性化の方向性について、コンセンサスが取れつつある」と話す。個別のビジネスモデルの構築・運用はもとより、事業者間で市場を盛り上げる機運の醸成にも一役買っているようだ。

 「連携の枠組みは出来たが、今は第1ステージ」(国交省不動産業課)。今後はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の開設も視野に入れ、地域間の物理的な壁を越えたネットワークの構築に意欲を見せている。

国交省、連携促す狙いは―― 消費者需要叶える住宅提供

 国土交通省は12年3月に、「中古住宅・リフォームトータルプラン」をまとめた。20年までに、中古流通・リフォーム市場を20兆円へと倍増させるという政府目標の実現に向けて、取り組むべき内容をまとめたものだ。『安心して中古住宅を取得でき、リフォームできる市場環境の整備』と、『魅力ある中古住宅・リフォームを提供可能な担い手の育成・強化』を総合的に推進するとした。更に、12年6月には、住宅・不動産業界の専門家や有識者を交えた会議「不動産流通市場活性化フォーラム」において、中古流通活性化策の基本的な枠組みを提言。『不動産取引の透明性・効率性の向上』と『事業者間連携・中小業者の提案営業力の向上』など全体的な方向感が示された。

 その具体化へ向けて国交省が支援している事業の1つが、今回特集した全国12の協議会による「中古不動産流通市場の活性化に関する調査検討業務」だ。特に中小事業者を中心としたもので、不動産仲介会社にとっては様々な中古流通関連事業者との連携を深められる場としての期待が高まっている。

 エンドユーザーが、中古住宅を検討するに当たっての不安要素として、「物件に隠れた不具合があるのではないか」「耐震性や断熱性が低いのではないか」といった品質部分を気にする点が多く挙げられている。それらの情報不足が原因で、結局は取引(成約)に至らなかったケースは多い。ただ、それを逆にとらえれば、中古住宅の性能評価や建物調査(インスペクション)など新たなサービスを求めるニーズにしっかりと対応することで、取引拡大の可能性は高くなるということだ。活動を開始した全国12の協議会は、そのニーズへの対応を目的に、不動産仲介会社、リフォーム会社、インスペクション会社、品質性能会社、瑕疵保険法人、アフターサービスを手掛ける会社など様々な事業者が連携を図り、新たなサービスを生み出そうとスタートした。国交省では、「独自の連携やネットワークを構築し、多様化・高度化している消費者ニーズにかなった中古住宅を提供していただきたい」と話している。

キーワード

求む!買取物件 価値ある中古不動産の売買はムゲンエステート住宅新報別冊 不動産テック.BIZ Vol.14 最新号発行 不動産×ITの最新トレンドをお届け会員会社(賛助会員を含む)のプレスリリースを一元的に集約・掲載する情報発信サイト マンション管理プレスリリースセンター

関連サービス