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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 (99) 常水面 液状化リスクに関係

住宅新報 2012年11月13日 号 4面

連載: 知って得する建物の豆知識

管理(賃貸・分譲)
自然素材として見直されている松杭

自然素材として見直されている松杭

 先日、リニューアルした東京駅は免震構造が装備されています。既存基礎の左右に杭を打ち込み、この杭に梁を渡し、この梁で基礎を受けて、荷重を逃がしながら免震機構を基礎下に挿入しています。大変な難工事でした。

 この時、長年東京駅を支えてきた大量の松杭が基礎の下から発掘されました。1本として腐食による強度低下を来たしたものはなく、1914年の完成以来、100年近く経っても新品のような状態を保っていました。

 軟弱な地盤を補強するために木杭を打ち込む方法は、洋の東西を問わず行われてきました。江戸城石垣の基礎下にも松杭が使われています。また、1100年前に都市作りが始まったベネチアでは、建物の下は支持地盤のある粘土層まで隙間なく松杭が打ち込まれています。これは別名「ベネチアの森」と呼ばれます。ベネチアの街を上下反転させると森林が出現する、という意味です。

木杭が100年腐らない理由

 なぜ木が腐らないかというと、「常水面」以下に杭が打ち込まれるからです。常水面とは地中にある地下水の位置です。川のように流れているワケではありませんが、一定以上の湿度を保持している層のことで「地下水位」とも言います。

 常水面下に打ち込まれた松杭は、水によって酸素を遮断されるため腐朽菌が繁殖せず、長期にわたって強度を保持できるのです。この常水面が安定していれば良いのですが、地下水の汲み上げなどで水位が下がると、松杭は地中に侵入してきた酸素にさらされ、一気に腐敗が進み強度を失います。

条件揃えば内陸でも発生

 ところで、「常水面」は地盤の液状化とも深い関係があります。液状化が起きる条件には3つの要素があります。地盤が均質な砂地であること、常水面が高い位置(地表から3m以内)にあること、震度5以上の揺れが加わることです。この要素のうち、どれか1つ欠けても液状化は起きません。常水面が地表から2mであっても、粘土地盤であれば液状化は起きません。つまり、液状化リスクのキーは「常水面の高さ」に依拠していると言うことです。東日本大震災で同じ砂地でも、液状化が起きた場所と起きなかった場所が生じたのは、地下水脈の影響による常水面のレベルにあったとも言えます。

 また、通常は海浜部で起きやすい液状化現象が、埼玉県の栗橋や幸手など内陸部で発生した理由は、利根川や荒川が『暴れ川』だった時代に山砂による広大な湿地帯が出現し、後世になってそこを宅地化したのですが、高い常水面と砂地地盤はそのままだったことにあります。

 更に、常水面は地下室工事にも影響を及ぼします。常水面が高いと地下室という『コンクリートの箱』に浮力が付き、地盤から浮き上がってしまうことがあります。四周に溝を設け常時ポンプで水抜きをしたり、床版を重くしたりと対策が必要になります。 (建築家・中村 義平二)

 

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