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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識 (98) 太陽熱温水器 ローテクながら抜群のコスパ

住宅新報 2012年10月30日 号 4面

連載: 知って得する建物の豆知識

管理(賃貸・分譲)
バルコニー設置型

バルコニー設置型

 先日、若手建築家数人に、最近のメーカー主導によるスマートハウスをどう思うかと聞いたところ、非常に懐疑的な感想を聞かされました。

 それは、機器生産にかかわる環境負荷の問題、機器寿命とイニシャルコストを考えた時の費用対効果の悪さ、そして最終的には国民負担となるインセンティブ施策による普及促進などに対する疑問でした。では、再生可能エネルギー機器として取り入れている物は何かと聞いたところ、異口同音に推してきたのが『太陽熱温水器』です。

3.11後に再び注目

 太陽熱温水器は、自然利用エネルギーの優等生と言われています。ローテクな技術でありながら利用効率が高く、太陽光発電が20%弱であるのに対し50~60%に達しています。構造がシンプルであるが故に、生産や維持管理に掛かる費用が安価で、コストパフォーマンスは抜群です。近年は電気温水器やガス給湯器に押され、最盛期には80万台あった市場も数万台にまで縮小していました。しかし3.11以降の電力不足や原発問題を背景に、再び注目を浴びています。現在の太陽熱温水器はいわば〝枯れた〟技術の集積であり、その効率とシステムは極限まで行っているとも言えます。

バルコニー手すりに設置

 太陽熱温水器の機構は大きく「自然循環型」と「強制循環型」の2種類に分けられます。自然循環型は集熱パネルとタンクが一体になった最もシンプルな構成で、価格が安く寿命も長いのですが、屋根の上に異様なデザインの機器が設置されるため外観デザインが問題になるのと、200~400リットルの湯を貯める重量物を集中荷重として、屋根に載せることによる構造負担が危惧されます。

 強制循環型は屋根の集熱パネルで作った湯を地上に置いた貯湯タンクに貯めるもので、ポンプによって強制的に水(又は不凍液)が循環します。不凍液を利用するものは『二回路式』と呼ばれます。自然循環式に比べると複雑なシステムゆえ、若干高価ですが大量の湯を得ることができます。また、循環させるポンプは太陽電池で駆動されるものもあります。

 集熱方式には平板型と真空管型があります。

 平板型は黒い板の中にパイプで細い水路を作り、水や不凍液を循環させて集熱します。構造がシンプルで安価です。

 真空管型は二重ガラスの内部を真空にしてその中心部に水路を巡らせたもので、高効率に集熱できますが、平板型に比べコストが上がります。ただ、効率が良いので必ずしも屋根上に決まった角度で設置する必要はなく、外壁や塀、バルコニーの手すりの一部として利用することができます。バルコニー設置型は集合住宅にも設置可能で、既に多くの事例があります。

 さて、肝心の回収コストですが、他の熱源に比べ概ね年間5万~7万円セーブできるとされており、機器寿命を15年とすると、トータルで75万~105万円となります。         (建築家・中村 義平二)

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