マンション市況の下期展望 トータルブレイン久光社長に聞く (下) 用地供給、秋以降に増加見通し
住宅新報 2012年9月4日 号 7面
連載: マンション市況の下期展望
首都圏マンション市場の下期展望をトータルブレインの久光龍彦社長に聞く企画。後半の今号では、建築費の上昇など厳しい事業環境の中での供給戦略を聞いた。
――上期は販売現場から集客の低下が聞かれました。下期の供給動向にどう影響していくと見ますか。
「集客の低下などは、消費者の購入体力や希望予算の低下スピードにマンション販売価格がついて行けず、ミスマッチが起こり始めているということではないか。現在の景気低迷とデフレ経済が継続する限り、価格に関しては当面弱含み傾向が続くと予想される」
――消費者の購入体力などを考えると、販売価格は大きな要素ということですね。
「上期の販売状況を見ると、都内近郊や郊外部の好立地で3000万~4000万円台の一次取得者層をターゲットとしたファミリー商品の売れ行きが良かった。全体的には需給バランスが良好なエリアや割安感のある物件が好調だった。首都圏市場の分譲単価別の供給割合を見ると、価格が比較的割安だった06年頃に比べ、12年前半は200万円未満の商品比率がまだまだ低い。本来はこの一次取得向けファミリー商品がマーケットのボリュームゾーンで、需要が一番強いところだ。前半戦も好調だったが、後半戦もこの価格帯が市場をけん引するだろうと予測される」
――販売価格を下げることを考えると、マイナス要因が多いのが現状です。その1つ、建築費の上昇にはどう対応すべきでしょうか。
「消費者からはマンションの基本性能の向上も要求されていることを踏まえると、建物をシンプルにして構造にかかるコストを抑えるといったことが考えられる。商品作りで、シンプルな1棟構成の配棟計画を基本とするといったローコスト住宅への転換が必要になってきているのではないか」
――消費税増税も控えています。
「所得低下や雇用不安といった厳しい状況下で消費税の上昇分を消費者に負担させることは更なるマンション市場の冷え込みにつながることが懸念される。企業努力によって吸収せざるを得ない状況になると考えられる。建築費の上昇分も含め、諸経費や利益率の圧縮などの努力は当然だが、それだけではとても無理だ。マンション用地の価格を下げて取得せざるを得ない状況だろう」
――用地も現状は情報が少なく、価格が上がっていると聞きます。
「この2~3年は用地仕入れに苦戦を強いられた。しかし、来年3月に中小企業金融円滑化(モラトリアム)法が期限になる。その目前に、中小企業に対して資産売却による融資金の回収に入っていくと予想される。既に一部の金融機関では、債務者に対する資産売却の折衝が始まっている。中小規模のマンション用地の供給は秋以降、増加すると予想される。近年のマンション用地不足が解消の方向に向かい、来年の春先からは土地は下がるのではないか」






















