原発4基の発電量節約
地中熱利用の方は特別な場所は必要なく、日本全国どこでも利用できます。地中内部の温度は、外気温に比べ1年中安定しており、ほぼ14度前後に保たれています。この安定した温度を夏は冷房に、冬は暖房に利用するのが地中熱利用です。空気よりはるかに熱容量の大きい地下水や、地中地盤と熱交換を行うことによって、一般的な空気を熱源とするより3割程度も効率的な運転ができます。例えば、東京電力管内のピーク時間帯において、全エアコンの消費電力1000万キロワットのうち330万キロワットを節約できます。これは福島第一原子力発電所の1~4号機の発電量に匹敵します。
地中熱利用には、大きく分けて3つの方法があります。最も簡易的なのが地中に直径1m、深さ2~4mほどの空井戸を掘り、井戸内の空気を床下全面に敷き詰めた砂利などに循環させるものです。冬は暖かく夏はクールな床になり、冷暖房費の削減につながります。
もう少し凝った地中熱利用システムが、クローズドループ方式です。これはヒートポンプを利用して地中熱を汲み上げ、利用する方法です。例えば冷房時にヒートポンプに使われる冷媒は高温になっていますが、これを地中を通して冷却することで、コンプレッサーの負荷を低減できます。
3番目はオープンループ方式といって、地下水そのものを汲み上げヒートポンプの冷却や加熱に使うものです。汲み上げた地下水は再度地下に戻す方式と、散水などに利用する方法があります。オープンループ方式は熱効率は最も良いのですがシステムが大掛かりなうえ、揚水規制区域などでは利用できません。
ヒートポンプ利用のイニシャルコストは、標準施工技術を模索している段階ですので幅はありますが、実証事業者へのヒアリングによればクローズドループ方式で出力キロワット当たり25万~60万円程度、オープンループ方式で出力キロワット当たり10万~30万円程度となっています。イニシャルコストは新たな技術の開発によって年々低下しており、普及に弾みが付けば、非常に低コストな再生可能エネルギー利用方法となるはずです。
環境への悪影響は?
さて、熱を地中に加えたり、汲み出したりすることによる環境への悪影響が気になるところです。住宅地レベルでは問題ありませんが、密集地域や大規模な地中熱利用では、狭い範囲へ熱負荷が集中する可能性があります。大規模に地中熱利用を図る地域、小規模でも高い密度で設置される地域では、地中熱環境の変化を踏まえ、地下水・地中熱利用へ何らかの規制が必要になると思われます。 (建築家・中村 義平二)























