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スタンダード会員限定県面積4分の1が市街化調整区域 「区域区分の見直しを」 沿岸部から移転 受け皿に

住宅新報 2012年7月10日 号 4面

管理(賃貸・分譲)

 〈1面から続く〉 原則として、建築物の新築や増築が抑制されているのが市街化調整区域だ。静岡県内では、総面積7780平方キロの約4分の1に当たる2006平方キロが指定されている(11年3月末時点)。分布は公表されていないが、浜松市内の地元業者は「駅北側で土地を求めても、調整区域ばかり」とこぼす。

 調整区域は、宅地造成の乱開発を防ぐ目的のもとで指定されるもの。その趣旨を踏まえたうえで、静岡県宅地建物取引業協会中遠支部の長澤昌行支部長はあえて「行政には、線引きの見直しをお願いしたい」と訴える。「用地価格を安価に抑え、沿岸部の住民の受け皿としてもらえないか。そうすることで、動ける人は少なからずいるはずだ」

 区域区分の変更は、国土交通大臣の合意が必要な「国の利害に重大な関係があるもの」を除き、都道府県知事に決定権がある。不動産取引の現場で上がっている声を、県はどう受け止めているか。

 都市計画課は「防災は言うまでもなく重要」としつつ、「市街化区域の拡大は、少子高齢化に伴い都市の集約化を掲げる国全体の方向性と逆行してしまう。すぐに取り組むというわけにはいかない」と回答。対応に苦慮している様子をにじませた。

 一方で市単位では、条例によって独自の緩和措置を講じているケースもある。

浜松市 条例で独自に緩和措置

 静岡県浜松市が09年4月1日付で施行した、『市街地縁辺集落制度』。市街化調整区域のうち、市が指定した『縁辺集落』の区域内においては、一定要件を満たせば誰でも住宅などを建築できる内容だ。「調整区域内でも、ある程度インフラの整っている地域に関しては集落を集中させ、都市効率を高める」(土地政策課)目的に沿って制定された。ただし、建築物の高さは10メートル以下とされているほか、前面道路幅や敷地面積の上下限といった規制も設けている。

 市の総面積の3割近くを調整区域が占める同市。縁辺集落の面積は、地図を見るとその1割程度に上る模様だ。「現時点で拡大する予定はない」(土地政策課)が、引き合いは多い。要件の1つである下水道の整備に関して、本管がない場合にその敷設費用を全額助成する制度を市が用意していたが、申し込みが途切れず予算額の上限に達し、5月末で打ち切りとなった。

 同様の制度は、他市にもあるのだろうか。県の都市計画課に尋ねると、「ほとんど例がないのでは」との回答だった。

 前述の通り、都市計画法上の区域区分を変更するには県知事の許可と、場合によっては国の判断を仰がなければならない。敷居が高いと言わざるを得ないが、同課の担当者は「地域主権という時代の流れを考慮しても、(土地利用は)市町村単位で考え、やっていく部分もあるのではないか」と話し、条例に基づく市街化調整区域の規制緩和に理解を示した。

沿岸部の賃貸市況 「1棟すべて空室」 あえて海側選ばない 「客足、例年並みに戻った」の声も

 静岡県の海側における賃貸市況は、業者によって見方が分かれた。

 「強烈な空室率」と話すのは、静岡県宅地建物取引業協会中遠支部の長澤昌行支部長だ。「新築はさすがに決まるものの、(築年数が古いと)全戸空室の物件もある」と話す。

 浜松市を含む天竜川以西を管轄する、静岡宅協の初澤宣廣副会長も同様の意見だ。「出て行く人はあっても(地域外から)引っ越してくる人はいない」(初澤氏)。そもそもエリアでは、08年のリーマン・ショック以降、空室率の高い状態が続いていたという。甚大な津波被害を引き起こした東日本大震災を受けて沿岸部を忌避する傾向がにわかに高まり、「市況低迷に拍車をかけた」(同)と説明する。

 両者の見解で共通するのは、「賃貸で、あえて海側を選ぶ理由はない」という借主の志向。その一方で、「賃貸だからこそ、すぐに引っ越せる」と考える借主も、少なからず存在するようだ。

 浜松市内に店舗を構える賃貸業者は、「来店客数が例年並みに戻りつつある」と話す。法人契約が主体のため賃料水準も高く、相場は単身者向け物件で7万~10万円程度。この業者によると、津波を警戒する傾向は「半年前まで強かった」が、現在は眺望を優先する借主もいるという。同じ駅勢圏の別の業者も「震災直後は引っ越しが多かったが、かなり落ち着いてきた」と近況を説明。「売買と違って一生の買い物ではない」と、借主の心理を代弁する。

 ただしこの業者によると、「賃料の下落は今も続いている」という。1Kタイプのマンションで、「従来の相場の半額に当たる2万円を切るケースも出てきた」と具体例を挙げる。

 部屋探しの条件とその優先順位は様々だ。同県沿岸部でもそれは同じだが、東海地震及び津波に対する警戒心は現在も確かに、賃貸市況に影を落とし続けている。

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