知って得する建物の豆知識(80) 若手建築家の住まい
住宅新報 2012年2月14日 号 4面
連載: 知って得する建物の豆知識
筆者は仕事柄、世界の新しい建築やプロジェクトの紹介サイトを定期的に閲覧しますが、こと住宅に関しては日本の若手建築家が設計したものは独特のテイストを持っており、説明を読む前から彼らの設計と分かってしまいます。一言で表すと「センスは良いが個性がなく」、言い換えると『草食女子』のようなイメージです。
「建売」に適したデザイン
最近、若手建築家の設計した住宅を集中的に見る機会があったのですが、どれも似たり寄ったりで、まさに「センスは良いが個性がない」ものばかりでした。しかし、建売住宅など商品化住宅の販売を考えると、大変に売りやすい商品とも言えます。概ね日本の商品化住宅におけるデザインには、若手建築家が設計したデザインを、大手ハウスメーカーが「良いとこ取りして」自社デザインに持ち込み、そのモデルを中堅ディベロッパーやビルダーが取り入れると言う流れがあります。トップからエンドまでは5~8年程度で到着するようですので、販売量の多い建売や売り建て現場でも「草食女子の住まい」をデザインテイストに取り入れる時期かも知れません。そのポイントをいくつか挙げてみましょう。
まず基本は、撮影スタジオのような、床・壁・天井すべてが真っ白なインテリアです。白色の仕上げは壁紙などではなく、ローラーや吹きつけの塗装仕上げがお約束です。その真っ白なインテリアに、ポイントとしてオレンジやグリーンのビタミンカラーのデザイナーズ家具がポツンポツンと置いてあります。
熱負荷、汚れに配慮なし
次のポイントは、巨大な開口部です。床から天井または吹き抜けを貫通して、2階分もあるような大きなガラス面を構成します。従って、インテリアは白い仕上げと相まって大変な明るさになります。冬の寒い時期は良いのですが、夏の熱負荷は相当なものです。
造り付けの家具類は淡色木目が使われ、建具類はすべて引き戸です。ドアは水周り空間を含め、1本も使いません。まるで天敵のようにドアを使わない理由は、空間に連続性を持たせるためだそうで、最終的にはF・L・ライトの設計した作品のように、ドアのない住宅を目指しています。
外観にも白い仕上げが使われ、徹底的にボックス志向です。これまた天敵のように軒を嫌い、まるでスチレンペーパーで作った模型のように、外壁と屋根は「線」だけで接しています。雨仕舞いや外壁の汚れが心配ですが、工業製品のように住宅をデザインすることで、センスの『良さ』を際立たせているようです。
長続きするか?
しかしながら、同じものが長続きしないのがデザインの常。いずれ反動として『肉食男子の住まい』がガツンと登場するかも知れません。
(建築家・中村 義平二)






















