知って得する建物の豆知識(79) ダイアフラム
住宅新報 2012年1月31日 号 4面
連載: 知って得する建物の豆知識
ダイアフラムとは、音響工学ではスピーカーなどの振動板のこと、建築分野では狭義として「剛性を持った面」を指します。その代表的な例が「剛床(ネダレス工法)」です。
■2階を根太レスの厚床に
通常、木造住宅の2階床は大引きの上に根太(床板を支える横木)を敷き、合板を捨て張りしたうえで床材を張ります。従って、床自体は構造的に、荷重を伝える以外何も負担していません。建物の耐震性を上げることから2階の床面にも構造的な負担をさせるのが、「剛床(ダイアフラム)構造」です。
一般的な木造床と異なるのは、梁や大引きといった一次的な構造部材の上に、捨て張りを兼ねた合板が直張りされることです。合板は通常の捨て張り用とは異なり24(または28)ミリ程度の構造用合板が隙間なく張り巡らされ、更にフローリング材12ミリが敷かれ、全厚は36(または40)ミリになります。一体化した「床版(しょうばん)」を構成することで水平方向の耐力が高まり、風圧力や、地震時に起きる建物の「ねじれ」や「ゆがみ」の発生を抑える効果があります。
1階の耐力壁に対して集中荷重が発生しにくく、力が分散して伝わるため、耐震性も向上します。ビルトインガレージを設ける場合にはおよそ3メートル×5メートルの範囲及び道路側の開口面には柱や耐力壁を設けることができませんが、2階に剛床を構成することで、構造的なアンバランスを補正することができます。また、厚板を敷き詰めることから床がたわみ難く「床鳴り」の防止効果があり、遮音性の向上も得られます。
このような床の構造強度を期待する場合は、床倍率を計算します。品確法による性能表示制度で耐震等級を2以上にする際も、床倍率の計算が必要です。
細かい計算方法は省きますが、全体の考え方を述べると次のようになります。まず前提となる床の施工レベルですが、厚さ24~28ミリの構造用合板をN75釘を用いて、梁のすべて及び外周部・中間部ともに150ミリピッチで打ち付けます。梁の間隔はX方向、Y方向とも910ミリとし、釘頭が構造用合板にめり込まないようにすること、柱や間柱に干渉する部分は構造用合板を欠き込み、その付近の釘を増し打ちするなどします。このような施工を前提に、区画ごとの壁量と壁面線の水平距離を調べ、数式を使って地震用と風圧力用に必要な床倍率を計算します。
■火災時の時間稼ぎも
一般的な木造では、筋交いなど耐力壁を中心にした耐震性を考えることは多いのですが、床の耐震性を併用することで構造的な耐力は大きく向上します。また、「剛床」のような厚床構造は万一の火災の際にも、2階床の抜け落ちまでの時間が従来の床構造よりも長く、避難する時間を稼ぐことができます。
(建築家・中村 義平二)






















