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プレミアム会員限定知って得する建物の豆知識(78) 耐力壁 耐震設計の第一歩

住宅新報 2012年1月17日 号 4面

連載: 知って得する建物の豆知識

管理(賃貸・分譲)

 構造体の耐力壁は重要です。特に、鉄骨造や木造のピン構造では効果を上げます。

 ピン構造とは、柱や梁の接合部が堅固に固められたものではなく、「自由端」としてフリーに動く構造です。これを堅固にするには、構造体内部に閉じた三角形を構築することになります。

 一般的には筋交い(すじかい)という部材で、柱と柱の間を斜めにつなぎ閉じた三角形を構築しており、端部は金物などで補強されます。また、筋交いだけでなく構造用合板や石膏ボードを張り回すことによっても、耐力壁は構成することができます。

必要な「壁量」を確保

 耐力壁は平面的なX軸方向、Y軸方向にバランスよく配置される必要があるうえ、長さにも規定があります。この規定を「壁量」と言います。例えば、木造軸組工法における2階建ての1階部分の地震力に対する壁量は、軽量屋根の場合で1平米当たり29センチ、瓦などの重量屋根の場合は同じく1平米当たり33センチ必要です。

 耐力壁は、地震の横揺れや風圧力に抵抗し建物の変形を防ぎますが、その強度グレードを表すのに「壁倍率」という指標が使われます。壁倍率1とは、1.96kNの耐力を持つことを表しています。一般的な筋交いを挿入した壁の壁倍率は3と規定されており、筋交いをX型に入れた場合は4となります。

 壁倍率の上限は、その壁が取り付けられる他の部材の強度を考慮し、5までとされていす。先に述べた壁量計算では壁倍率を1としているので、使う壁の構造により必要な壁量が違ってきます。壁倍率が3のケースであれば、壁量は3分の1で良いことになります。

配置バランスも考慮

 一般的な住宅では南側ゾーンは開口部や大きな部屋が多く、北側ゾーンは開口部も面積も小さな部屋が並んでいます。また、南側ではコーナー部に開口を設けるケースもあり、バランスの良い耐力壁の配置が得られていないケースもあります。全体としての壁量は充足していても、配置バランスが悪いと構造的な強度は期待できません。

 本来は構造計算を行って偏心率を割り出し、これを0.3以下にするのですが、木造住宅などでは構造計算を行わないため、簡易法によってバランスをチェックします。この方法は「4分割法」と呼ばれ、平面をX軸方向、Y軸方向それぞれに4分割し、外周部分に当たる1と4の分割された部分の壁量を割り出し、必要壁量で割った値が1を超えれば、バランスは良いことになります。

 大地震や大型台風に襲われた場合には、この耐力壁が建物の変形や破壊に対する大きな抵抗力になります。耐震設計の第一歩は、凝った金物や高価な構造部材を使う前に、耐力壁の適正な配置と量であると言えます。

(建築家・中村 義平二)

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