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スタンダード会員限定酒場遺産 ▶147 鍛治屋町 季節料理・三友 一世紀の技を、気軽な一皿に

住宅新報 2026年9月1日 号 11面

総合
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 台風の日、ある用件の帰りに神田鍛冶町の酒場に寄った。以前から友人に「ここはいいですよ」と薦められていた、神田駅東口からほど近い季節料理「三友(さんとも)」である。暖簾をくぐると、細長い店内にカウンターとテーブル席が並ぶ。2階には座敷もあるという。この日は台風とあって、客は私を含めて数人。静かな夜だった。女将に聞くと、数年前に創業100周年を祝ったという。一世紀を超える老舗である。もとは今川橋の近くに店を構え、30余年前に現在地へ移ってきたそうだ。白髪の店主が3代目で、女将のご主人である。まずはキリンラガー。白身はヒラメがいいというので、ヒラメとカツオの刺身を頼む。続いてねぎま、里芋煮。どれも丁寧な仕事で、素直にうまい。

 家に帰って今川橋のことを調べた。かつてこの辺りには神田堀、のちの竜閑川が流れ、神田と日本橋の境をなしていた。今川橋はその川に架かり、日本橋から中山道へ向かう要所にあった。竜閑川は1950(昭和25)年に埋め立てられ、橋も姿を消した。現在は交差点名や碑にその名を残すだけ。女将の話では、「三友」はその今川橋界隈で商いを始め、神田の旦那衆や、昭和の高度経済成長期には接待で訪れる会社の重役たちを相手に、ふぐや旬の魚を扱う料理屋として歴史を重ねてきたという。

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