可能性秘めた「箱」を開く 物流×不動産、境界に変化 倉庫を経営資源にする
住宅新報 2026年9月1日 号 1面
荷物を預かり、運ぶ――。そうした従来の倉庫・物流業の姿が変わりつつある。土地や建物、物流を熟知する現場力を生かしつつ、不動産の開発、運用、投資などへ事業の領域を広げる動きがある。自社の経営資源を外部との共創で更に生かす。その一方、人材や専門機能が限られていても、足りない力を外部との連携で補い、新しい事業へ踏み出す。昨今の〝物流不動産ビジネス〟の台頭が進む中で、「倉庫」という資産を巡る物流と不動産が変化し、新たな動きも出始めた。 (坂元浩二)
澁澤倉庫にとって、不動産は、物流事業の後から特別に加わった事業ではない。土地と建物を持ち、荷物を保管する倉庫業そのものが、不動産と不可分となっている。同社代表取締役副社長の倉谷伸之氏は、物流と不動産は「シームレス」に発展してきたとの認識を示す。倉庫会社は土地や建物という不動産を持つ。更にそこで荷物がどう入り、保管され、動いていくのかまでを知る。不動産という「器」と、その中で営まれている物流の双方を理解している。
不動産賃貸事業から得られる安定収益は、荷動きなどに左右される物流事業を支えている。ただ、同社が描く不動産戦略は、賃貸収入の確保にはとどまらない。倉谷氏は、物流と不動産のシナジーを一層高めて、両事業が〝混然一体〟となり成長する方向を見据えている。物流で蓄積した運営や、顧客ニーズの知見を施設開発や管理に生かす。不動産で得た収益や施設、ノウハウを再び物流の成長に還元する。不動産が物流事業を補完するだけといった一方向の関係ではない。双方が互いの事業機会を広げる構図で、物流施設そのものを、両事業をつなぐ経営資源とする。
同社の中期経営計画では、不動産も、ポートフォリオの収益性の向上、物流事業とのシナジーの力、開発事業への取り組みを事業の柱の1つに位置づける。私募ファンドへの出資や、プロパティマネジメント(PM)強化、不動産専業者と連携、物流不動産領域の拡大、開発・売却などを掲げる。不動産の収益力と共に事業の領域を広げている。














