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投資エリア拡大も視野に 日神不動産投資顧問が体制刷新 中長期的に運用1千億円へ

 日神グループホールディングス(以下、日神GHD)のグループ企業で、主に日神不動産(以下、日神不)による賃貸物件の証券化事業を手掛ける日神不動産投資顧問(以下、同社)。同社は8月25日、日神GHDをはじめグループ内の複数企業で要職を務めた日置健氏を新社長とするなど、体制の刷新を行った。その背景や日置新社長の事業方針、同社の今後の見通しなどを取材した。

 同社は13年10月設立で、日神GHDを中心に、投資物件の開発や運用に関わる外部企業数社が出資。社宅や学生寮を含む賃貸住宅を専門とし、日神不の開発物件について、仕入れや開発企画の支援、SPC(特別目的会社)の組成や運営補助、私募リートの運用など、各段階における証券化業務を主軸とする。

 主な投資対象は、1都3県かつ「主要ターミナル駅から40分以内」「最寄駅から徒歩10分圏内」といった立地の新築物件。同時に、一部では地方物件や第三者から取得した既存物件なども扱う。現在は33物件を保有し、資産規模は350億円超となっている。

 日置氏が3代目となる新社長に就いた背景には、設立10年の節目を来年に控え、事業体制の構築・整備が一定の段階に達し、更なる規模の拡大を図る狙いがうかがえる。

 同社によると、これまでトップを務めた2人の社長は両氏とも外部企業出身で、金融や不動産投資分野への造詣が深く、同社やリートの立ち上げと整備を担った。今回は、初の日神グループ出身社長であり、同グループ全体を俯瞰(ふかん)する業務を長く手掛けた日置氏が、スポンサーとの関係強化や事業規模の拡大を目指すという構図と考えられる。

原則は従来の基盤を踏襲

 日置社長は今後について、「数年のうちに、500億円の資産規模を目指したい。これが達成できれば、その先には1000億円規模も視野に入る」と意欲を見せる。また方針としては、「特別新しいことを始めなくとも、現在の事業をしっかりと進めていけば(目標は)実現可能」と述べ、従来の事業基盤を踏襲していく構えだ。

 ただし投資対象の選定など、個別のアプローチについては手を広げていく考えも示した。具体的には、物件の立地条件をある程度緩和しつつ、郊外でも入居率などに優れた物件を細かく取得していくほか、中長期的には地方中核都市での事業も強化を図る。また、他社開発の既存物件も良質なものであれば積極的に検討するなど、「視野を広げていく」(日置社長)ことで成長につなげる。

 日置社長は併せて、「当グループは、長年のマンション開発で培ったフロービジネスが強み。それに加え、物件の保有・運用によるストックビジネスを成長させることで、グループ全体の安定性向上にもつながるのでは」として、グループ経営の面からも視野を広げていく考えを示した。