酒場遺産 ▶84 浅草橋 酒寮むつみ屋 大正初期、酒好きロシア人ら始まり
ある金曜の夕刻、日本橋浜町での会議が終わり、ぶらり歩いて浅草橋まで来た。木の格子の引き戸の上には、「浅草橋名代 酒寮むつみ屋」の年季の入った暖簾が掛かる。数年ぶりに訪れたむつみ屋は、何ひとつ変わっていない。暖簾をくぐり、厨房前のカウンター席…

ある金曜の夕刻、日本橋浜町での会議が終わり、ぶらり歩いて浅草橋まで来た。木の格子の引き戸の上には、「浅草橋名代 酒寮むつみ屋」の年季の入った暖簾が掛かる。数年ぶりに訪れたむつみ屋は、何ひとつ変わっていない。暖簾をくぐり、厨房前のカウンター席…
JR浅草橋駅を降り、正面の江戸通りを左手に少し歩くと、「中華料理 水新菜館」と書かれた渋い2階建ての民家風建物がある。前知識なくともオーラを感じるから不思議だ。1897年(明治30年)の創業から、この町で長きに渡り人々に愛され続けている浅草…
今回は「八百屋がやっている角打ち」である。毎月第2金曜日に八百屋「藤本商店」店主の藤本健次郎さんが開く角打ちなので、「酒場遺産」に相応しいか迷ったが、希にはこんな趣向もあろうかと思い紹介させていただく。ご容赦いただきたい。本連載第21話でも…
前回、前々回と伊東の酒場を紹介してきたが、今回も筆者とっておきの店だ。伊東大川沿いには東海館など由緒ある歴史的建造物が並ぶが、河口近くに少し傾きかけた一軒家の割烹料理店「舟や」がある。伊東漁港の新鮮な魚料理を出し。伊東の隠れた名店と言われる…
伊東駅を降りたち駅前ロータリー右方向の「湯の花通り」を歩くと、その先の「キネマ通り」という閑散としたアーケード街が終わる五叉路交差点の手前に、居酒屋「元気」がある。以前、筆者は仕事の関係で東松原町に通ったが、よくこの酒場を訪れた。明るい性格…
伊東は熱海駅からJR伊東線で約25分の、言わずと知れた温泉町である。古くは平安時代から湯治場として栄え、幸田露伴、川端康成、尾崎士郎などの文人が訪れたことでも有名だ。別府温泉・由布院温泉に次ぐ湯の湧出量を誇り、街なかには10軒の外湯(共同浴…
川に向かって湾曲して張り出す野毛都橋商店街の近く、斜めに入った路地に面し不思議なバーがある。歩いていても見過ごしてしまうような入口、看板もなく曇りガラスには「日の出理容院」とだけ縦書きに書かれる。中にうっすらと電球色の灯がともるが、そうと知…
野毛には、いくつか名店と言われる焼鳥屋があるが、「末広」はその中でも最も知られた人気の焼鳥店である。引き戸を開けると、左手に厨房とカウンター、右手に2人掛けのテーブル席、奥に小上りがある(全37席)。昭和25年(1950年)の創業というから…
高円寺ラバーの筆者は、南口の「小料理屋 休」(本紙連載第9話)で飲み、中通り商店街の「唐変木」(第75話)で〆ることが多いのだが、たまに「小杉湯」へ歩くこともある。飲み過ぎの方にはお薦めできないが、酒の後の湯は気持ちの良いものだ。小杉湯は昭…
高円寺駅北口から北西方面に走る、小さな飲食店や風俗店などが並ぶ中通り商店街(セントラルロード)を5分ほど歩くと「高円寺村大字居酒屋 唐変木」と書かれた小さな看板が路上に置かれている。そこを左手の幅1メートルもないビルの隙間に入れば、正面に地…
高円寺はちょっとアナーキーで魅力的な街だ。個性的な酒場も多い。その一つが駅から徒歩5分ほどの「一徳」である。狭い店だがコの字カウンターに12席、厨房では大柄で丸刈りの大将(山下さん)がワンオペで忙しく働く。道路にはみ出たビールケースを積み上…
昨年、毎年恒例のセミナー講師の仕事で札幌を訪れた。5月下旬の札幌は湿度も低く快適だ。中島公園では花々が咲き、木々もまだ新緑で眩しい。この仕事は20年以上続けているが、この美しい時期に札幌を訪れることを、いつも楽しみにしている。6時間のレクチ…
札幌テレビ塔を超えて創成川を渡ると、通りの街灯もまばらとなる。そんな場所に、「正統九十年第三モッキリセンター」のひときわ明るい看板が光る。暖簾をくぐり引き戸を開けると、30人ほどが座れるコの字カウンターが迎えてくれる。酒も食も安くて美味しい…
仕事で神戸三ノ宮へ出掛けた夜、先方との懇親会も終わり、一人ふらりと賑わう阪急三ノ宮駅近くの遊歩道を歩く。お洒落な神戸の街とは違った空気が流れるガード下の路地がある。ここに、目当ての金盃「森井本店」がある。店の前の扁額(木製の看板)には右横書…
JR蒲田駅から京急蒲田駅に続く中央通りにある「スズコウ」が、以前から気になっていた。先日、あるツアーに参加した仲間たちとの懇親会をこの店で開き、初めてこの店に入った。赤提灯「鳥いわし」の通り、鰯料理と焼鳥の店だ。昭和44年の創業である。壁に…
日本橋から歩いて帰る途中、神田須田町一丁目を通った。この辺りは、かんだやぶそば、神田まつや、ぼたん、竹むらなどの古くからの料理屋や蕎麦屋などが並ぶ風情のある一画だが、鮟鱇で有名な「いせ源」と、最近人気の「けむり」の間に、小さな焼き鳥屋がある…
西荻窪(通称「西荻」)は中央線沿線の個性的な街の中では、比較的小さくヒューマンスケールだ。周辺には品の良い住宅街が広がるが、駅前の狭い通りには小さく魅力的な酒場が集積し、日の高いうちから酒飲みが集まる。バラックのような立飲み屋からセンス良い…
蒲田は酒飲みの聖地である。JR京浜東北線蒲田駅と、東に800メートルほど離れた京浜急行京急蒲田駅の間の蒲田東口商店街には大小様々な酒場が並ぶ。筆者も勤め人時代には羽田からの早朝フライトのために蒲田のビジネスホテルに泊まり、これ幸いとこの辺り…
湯島「玉善」。繁華街のど真ん中にある創業44年の老舗酒場。春日通りから少し入った居酒屋やバーなどが並ぶ路地に面しているが、店の構えは湯島の繁華街の中でもひときわ昭和の趣きだ。料理も酒も美味く、3階建ての店だが予約なしで入れない人気店だ。ひと…
不思議なことがあるものだ。筆者が住む湯島の家からほど近い不忍通り沿いに、暖簾に大きな字で「酒」と書かれた間口1軒ほどの小ぎれいな店「酒亭 ふ多川」を見つけた。いつも歩いている場所のはずだが気がつかなかったのだ。引き戸を開けると、店は鰻の寝床…