丸和ホーム社長 小林 裕明氏
連載: 常日頃
東京・大田区久が原--高級住宅地を背後に擁した商店街の一角。東急池上線久が原駅から徒歩5分のところにある丸和ホームは58年の設立。小林裕明社長の祖父が営んでいた不動産管理会社を16年前に引き継いだ。自社所有の賃貸マンションから上がる家賃収入を経営基盤としつつ、相続を中心とする不動産コンサルティングビジネスなど新分野の開拓に意欲を見せている。
相続コンサルに注力 地主の信頼確保、着々と
--不動産業を始めたキッカケは何ですか。
「大学在籍中に宅建試験に合格したことだ。卒業したのが88年でバブル真っ最中。当時景気の良かった不動産会社に勤務したあと94年に独立した」
--独立した時は『失われた10年』の真っ最中。地価下落が続き厳しかったのでは。
「祖父が所有・管理していた古いアパートを5階建て23戸の賃貸マンションに建て替えた『コロラードマルワ』からの家賃収入が支えてくれた。周辺相場や市況について徹底的にマーケティングを行っているので今でも100パーセント近い稼働率だ。賃貸仲介業務をしているので借り手の最新ニーズを把握できていることが大きい」
--賃貸仲介会社こそ安定収益部門として賃貸物件を所有すべきだとかねてから考えていましたので、わが意を得たりの思いです。
「自社で賃貸マンションを所有・運営していると、貸主の物件への思いがよく分かる。敷金による原状回復問題などでも共感することが多い。こうした立場を延長させて、地主の土地活用や相続対策などコンサルティングビジネスへの道を構築していきたい」
--不動産コンサルティング技能登録者、不動産アナリスト、NPO法人相続アドバイザー協議会認定の上級相続アドバイザーなどの資格を取得しているのはそのためですか。
「相続コンサルはこれからの不動産業にとっての大きなビジネスチャンスと見ている。しかし全資産を公開してもらわなければならないので、そう簡単ではない。地主から信頼してもらうためにも専門的知識とスキルは不可欠だ」
「地主へのアプローチとしては、賃貸物件の管理表作成サービスも始めた。これは各部屋ごとの履歴書みたいなものだ。賃料や修繕の記録、入居していた人の属性、空室期間、リフォームの内容とその効果などが一目で分かるようにしてある。こうしたものがないと合理的な経営・管理ができない時代だ」
--コンサル以外で注目している分野は。
「買い取り転売による不動産投資部門だ。ワンルームマンションなどの買い取り業者は多いが、当社は立地のいいファミリーマンションを借家人付きで買い取り、借家人が退去したらリフォームをして転売するビジネスに力を入れる」
「区分所有ファミリーマンションの賃貸化物件が多くなってきていることと、高い付加価値を生むリノベーション・ノウハウが今後は重要になってくると見ているからだ」
--会社の経営理念は何ですか。
「仕事上でモットーにしている言葉は『縁尋機妙』。人生の中で出会うべき人には必ず出会える。しかも一瞬たりとも遅からず、一瞬たりとも早からずという意味だ」
「不動産と人も縁があればこそ結ばれるものだ。不動産はたとえお金があっても、欲しいときに欲しい場所で買えるとは限らない。この不思議な縁を精一杯活かすことで、お客様に感動してもらえる仕事をしていきたい」 (聞き手・本多 信博)
<会社概要>
所在地=東京都大田区久が原3-37-4 電話=03(5700)5721
設立=58年12月
社員=5人 資本金=300万円













