Pick Up!
- 「土地を手放す」ニーズ顕在化 相続土地国庫帰属法、施行2年
- 外国人向けオンライン診療サービスを導入
- タカマツハウス 新中期経営計画を策定
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。まずは、4位の「『土地を手放す』ニーズ顕在化 相続土地国庫帰属法、施行2年 対象は限定的、民間補完も質に課題(2025/6/3号)」になります。同法が施行される前は、国に引き取ってもらうハードルが高く活用は見込めないとした観測が多かったと思いますが、それを覆してニーズの強さが浮き彫りとなりました。法務省によれば、今年4月30日時点で3732件の申請があり、承認も速報値で1586件となっています。
正式名は、「相続等により取得した土地所有権の国庫帰属に関する法律」です。九州の面積に相当するとされる所有者不明土地への対応策。相続土地国家帰属制度とともに相続登記が義務化されていて、相続人が土地の取得を知った日から3年内の登記申請を求めています。正当な理由がなく相続登記をしないと過料も科されるようになりました。
要らない土地を国に丸投げするモラルハザードを避けるために承認するハードルは高くなっています。承認された場合は10年分の管理費用の納付が必要となり、審査手数料も一筆当たり1万4000円がかかり、審査料を納付した後に申請を取り下げたりしても手数料の返還はありません。土地要件も厳しく、①建物がある土地②担保権や使用収益権が設定されている土地③他人の利用が予定されている土地④土壌汚染されている土地⑤境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地。これらの土地は承認されません。また、申請できたとしても一定の条件をクリアしていないと承認されません。
すべての団塊世代が後期高齢者となり、今後、相続物件は増えるとみられますが、団塊世代の子どもたちは自宅を持っています。そのことを考えれば東京など大都市で国庫帰属法を頼る案件が増える可能性が考えられます。
次はランキング1位となった「タカマツハウス 新中期経営計画を策定 急成長から持続的成長へ 3年間で売上高4200億円に(2025/5/27号)」になります。2028年3月期を最終年度とする新中期経営計画で売上高を4200億円とする計画です。同社は、2024年度までの3年間で4.5倍に、営業利益を15倍と飛躍的な成長を見せていますが、「急成長から持続的成長の3カ年」にかじを切り、盤石な経営基盤にしていく計画です。
戸建て住宅事業を展開し、そのターゲット層を都心マンション志向に消費者に当てているのが特徴。一般的に戸建て住宅の立地は、マンションよりも駅から離れている印象が強いですが、あえて駅から5分以内の立地にこだわって展開しています。ただ、都心で駅近好立地の出物は少なくなっているのが現状であることから用地仕入れがポイントとなります。こうした立地は、分譲マンションにとどまらず、一定の高額所得層が不動産投資として購入する総世帯数8戸前後の収益マンションとも競合しやすい。用地取得に向けた情報戦が明暗を分けることは言うまでもありません。
最後に挙げるのが10位の「東急不、エムスリーの外国人向けオンライン診療サービスを導入(2025/6/3配信)」になります。医療人材ビジネスを展開するエムスリーキャリアが展開する訪日外国人向けのオンライン診療サービス「HOTEL de DOCTOR 24」を、東急リゾーツ&ステイが運営するホテルに導入するというニュースです。訪日客の急増に対応するもので、ホテルで医療通訳付きオンライン診療を受けられ、患者1人に対して、医師・看護師・医療通訳(22言語対応)が24時間対応しているのがウリです。今やホテルに限らず、中長期に滞在する外国人向けの賃貸住宅、駐在外国人が居住する賃貸マンションなどでも外国人向けのサービスを拡充する動きが活発です。かゆい所に手が届く日本ならではのサービスが訪日リピーターを増やしていきそうです。