場と立場をわきまえた立ち居振る舞いを
連載: 女性のためのキャリアアップ術!
女性によく見られる特徴の一つに、「自分の気持ちに正直」が挙げられます。これが、仕事をする上で?メリット?となりよい結果を生むこともあります。例えば、心の底から気に入った商品など、「私自身、これまでいろいろ試してみたのですが、本音で一番良い商品なので私も購入しました」とお客さまに率直に伝えれば、どんなセールストークより効果があります。また、心から打ち込める仕事なら、少々待遇が悪くても一生懸命に誠心誠意働くなどというケースもあるようです。
しかし、問題なのは、正直であることが、逆に仕事や人間関係に悪影響を及ぼす場合。例えば、自分が納得できない仕事には、なかなか首を縦に振りません。もちろん、これは仕事をする上で「しっかり納得して、理解してから、仕事に取り組む」という良い面もあります。しかし、仕事には、「自分が納得できなくても、会社の方針としてそのまま受け入れなくてはならない」こともあるのです。なぜなら、組織としての方針は、会社を動かし経営するための?命令?ですから、個人的な感情を抜きにして従わなくては会社が潰れてしまいます。逆に、女性側から見ると、男性たちが納得できない会社や上司の命令に、二つ返事で従う様子を、「飲み会では愚痴るくせに、上司の前ではイエスマンで、信じられない」などと感じることもあるようです。
従うべき時もある
これは、どちらが良いか正しいかという問題ではないものなのです。以前、この連載で会社のことを?船?、社員を?船員?に例えたように、組織で命令に従わない人がいると、船は前進できないばかりか、進行方向と「逆向き」に船を漕いでいる船員がいると、燃料を無駄に消耗して、やがては沈没する可能性もあるのです。子どものころから比較的チームプレーに慣れている男性たちは、その?怖さ?がわかっているので、理不尽なことを言われても従っているだけです。
また、正直さ余って、会社や上司の理不尽な事を時には、当人に直訴してしまう人もいますが、これは要注意。……実は、私にも血気盛んな若い頃に、苦い経験があります。
以前勤めていた会社の経営者が、仕事であまりに理不尽なことをしているため、直訴しようと直属の上司に相談しました。すると、女性上司(辣腕セールスウーマンでした)に、「田原さん、怖さを知りなさい」と止められました。「社長も会社を経営し社員を雇用するために、何もかも分かってやっているのです。責任を取るのも社長で、あなたじゃないし、世の中それほど甘くない。それを言うなら、あなたは自分が辞める覚悟を決めてからにしなさい」。この、愛ある言葉は、本当に胸に突き刺さりました。
そして、私も経営者になった今、その言葉の意味が身に浸みてわかるのです。正直であることが、いつも正しいわけではありません。
次回は、おしゃべりには十分注意することについて、お話しします。
(たはら・ゆうこ=ベーシック代表取締役)













