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スタンダード会員限定「縁の下の力持ち」へ、常に感謝の気持ちを

 私は、両親・夫・親族を含め、教職にたずさわる者に囲まれて育ちました。学校という「他人様の将来を預かる場所」で教鞭をとることの重みや、教え方次第で子供たちがぐんぐん伸び、能力を発揮していく様子を、傍らからではありますが自宅に遊びに来る生徒さんなどの姿を通じて見守ってきたものです。そして今、営業研修や人事育成・コンサルティングを生業とする私も、少なからずその影響を受けてきたと感じています。

 

何よりも大切な存在

 子供の頃から、両親などに口を酸っぱくして言われてきたのは、「縁の下の力持ちがいて、学校が成り立つ。例えば、用務員や掃除をしてくださる方などが最も大切な存在だ。先生に挨拶するのも大切だが、そうした縁の下の力持ちの方々に、心から感謝を込めてお礼を伝えるのも大切なことだ」ということでした。こんな経験もあって、小学校の頃から用務員のおじちゃんとはとても仲良しでした。登校時も下校時も、校門の横にある小さな建屋に寄っては挨拶するのが日課で、こっそりお菓子などをもらったこともあります。また、何か困ったことがあると、それは親切に対応してくれたものです。そんな経験があって、大人になった今でも、JRの駅でトイレを掃除している方や駐車場で対応してくれる方などに挨拶するのが習慣で、忘れ物や落とし物などをした時には、助けられたこともありました。

 さて、企業の中でも、「縁の下の力持ち」的な存在の業務や陰から表舞台を支えている人たちは、仕事の渦中にはいないがために状況を俯瞰(ふかん)し、鋭い観察力で人や企業の思いや動きを捉えているものです。仕事の内容に関わらず「他人のために働く」「陰で支える」ことができるのですから、人間的にも素晴らしい方が多いものです。何かの本で、京都の高級料亭で、長年玄関で靴を靴箱に収める担当をしていた熟年の男性の話を読んだことがあります。常連客である大企業の社長の靴底の減り方がいつもとあまりに違うため異常を感じ、恐る恐る病院に行くことを勧めたところ、大変な病気で、社長は一命を取り留めたという実話でした。ちょっとした観察力が、そのもの自体以上の重要な情報を含んでいる例です。

 私たちは、日々、ルーチンワークとして仕事をする中で、「この人がいてくれるから、○○ができる」という感謝の気持ちをとかく忘れがちなものですが、〝仕事=対価〟だから当たり前という発想ではなく、「仕事をしてくれて、ありがとう」「あなたがいてくれて、助かります」という気持ちが、上司と部下、経営者と従業員、営業やそれを支える部門、男性と女性などの間でも、お互いに大切なのではないでしょうか。

 次回は、「仕事の選り好みをしない」ということについて、お話しします。

 (たはら・ゆうこ=ベーシック代表取締役)

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