現場時代の〝アイデア〟実現 長谷工コーポレーション・林徹さん②
連載: キラリ☆我が社の星

これは、ALC(軽量気泡コンクリート)壁とRC躯体との接合部、アルミサッシをALC壁に固定するための各溶接作業、アルミサッシとALC壁との隙間を埋めるモルタル充填を不要にする工法だ。玄関やサッシ窓といった開口部の可変性や更新性を高めることができるのが特徴で、将来の間取り変更やリノベーションに対応しやすくなる。「長期優良住宅は従来に比べて長期間、例えば3世代(100年)以上にわたって住み継がれるものであるべきと考えます。そのためには様々な暮らし方やライフスタイルに対応できるようにする必要があり、可変性や更新性を向上させる技術のひとつとしてこの工法が採用されました」と林さん。
繰り返し実験
また、採用にいたるまでには様々な実証試験が行われている。地震によって柱、梁、ALC壁はどのように動くのか、防音性能や防水性能はどうなのか、タイルなどの外装材がきちんと施工できるか、といった具合だ。これらの試験・検証を埼玉県越谷市にある技術研究所内の住宅性能試験棟などで繰り返し行い、改良を加えて採用に至ったそうだ。そのため施工性や安全性が高いのも特徴で、施工現場においても好評だという。「協力会社の職人さんからは作業しやすく楽になったという評価をいただいています。結果的に作業性の向上と労務省力化が図れました」
入社当初は建設部門で現場監督をしていたという林さん。新工法も、現場時代に「こうした工夫をすればもっと良くなる」と暖めていたアイデアを実現させたものだという。
10年の思いが結実
そして、ALCの研究開発を始めて約10年の思いが実を結んだ。「研究開発した技術が実際に世の中に出るのはわずか一握り。今回の無溶接工法もまだ進化の途中だと思っていますが、それでも実際の物件に採用されたことは素直に嬉しい」。しかし、採用が決まっても「机上では大丈夫だと自信を持っていましたが、やっぱり工事が始まると心配になり、ALC工事が始まると寒い冬も毎日のように現場に通っていました。一年後の浦和、吹田のプロジェクトの竣工が本当に楽しみです」。そう語る顔は、まるで子供の誕生や成長を見守るような優しい表情だ。
仕事以外では異業種交流会のメンバーとの会合を年に何回か行っているそうだ。「建設・不動産だけでなく様々な分野・視点から物事を考えるきっかけを与えてもらえ、いい刺激を受ける」。今後もいろいろなアイデア・技術でマンションの未来を切り開いていって欲しい。
(住生活ジャーナリスト・田中 直輝)













