ソフトの提案でストック活用図る 旭化成ホームズ・入澤敦子さん②
連載: キラリ☆我が社の星

そして、一連の生活調査にあたって、入澤さんには強い味方がいる。それは、「OGモニター」および「OG研究員」といわれる人たち。かつて実務職やインテリアアドバイザーとして、同社で働いていた人たちを組織化したもので、合計60人ほどで構成されている。
OGのスキルを活用
「例えば、男性社員がお客様宅を訪問する場合、彼女たちに同行してもらうことで奥様の生の声が聞きやすくなるのです」。もちろん、主婦として母親としてのスキルが高く、住宅の知識も豊富な人たち。「生活者のいわんとすることを的確にとらえ、図面やレポートを素早く作成することができるわけです。困った時のOGだのみですね」。OGの組織化、活用はここ3年くらいのことで、入澤さんの〝夢〟だったという。自ら主導して立ち上げた。
「結婚や出産などでどれほど優秀な女性社員が会社を辞めていったことか。彼女たちの仕事のスキルを眠らせておくのは会社の損失ですし、彼女たちにも『会社が好きで、私が役に立つのなら』という想いが強いのです。モニターさんは、テーマの芽を見極めるのに重要な存在で、研究員の方々は、完全に研究所の戦力になっています」
今後の目標も聞いてみた。それはこれまでに研究・開発してきたソフト提案のストックビジネスへの展開だ。「当社には優良なストックがあります。中でも二世帯住宅の居住者は代替わりしていて、ニーズも建築当時から大きく変化しています」。二世帯住宅は近い将来、親世帯の居住スペースが空いてしまうのが宿命。実際、20年を超えたOB顧客の住宅では、親世帯分のスペースが空いてしまっているケースが見られる。それをどうするか、ということは二世帯住宅のトップブランドとしての使命でもある。
「高齢者の一人住まいが増える一方、若年者の住宅取得難が問題になっています。その対策として、二世帯住宅を特定の家族だけのものとしてとらえるのではなく、リビングを共有して暮らす賃貸住宅に転用したりすることも考えられそうです。お客様の暮らしのニーズをとらえ、ストックをうまく流通させることで、新たな事業を開拓できる、そんな時期にきているように思います」
若い世代に伝える
ところで、入澤さんは東京家政大学で非常勤講師という肩書きも持つ。「社会貢献として会社の支援を受け、週に1度、住居学概論の講義をしています、10年ほど続けているのですが、学生の価値観やコミュニケーション能力などが変わってきていることが興味深いですね。ときに、就職や人生設計の相談に乗りながら、社会人予備軍の動向を楽しみに見ています」
(住生活ジャーナリスト・田中 直輝)
「住宅新報・2010年10月26日号」













