紙上ブログ 悪徳不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽 第102回 坂口有吉
住宅新報 2011年5月24日 号 5面
「イザという時に困る不義理」
人様にも多大な迷惑
今回の震災の後、仲良くしている塗装屋さんから聞いた話。
建物への地震の影響は東京でも出ていて、屋根瓦が割れたり、壁が剥がれ落ちた建物がそこそこあったようだ。で、塗装屋さんが以前に外壁の塗装をやらせてもらったお宅の屋根を直していたら、それを見ていた隣の家の人から「そこが終わったらうちの屋根も見てもらえないか」と頼まれたんだとか。だが、その家は以前に、今屋根の修繕をしている家の塗装をしていた際に営業を仕掛けた際、「ケンもホロロ」だったと業者はよく覚えていたとか。相手は簡単に「ついでに…」と考えたのだろうが、業者からすれば「ちょうどその家の屋根を修繕していた」ワケでなく、以前に仕事させてもらった縁で最優先で来ていたに過ぎない。「ついで」?
つまり、「ついで」ではないのだ。他のお客さんからも急ぎの依頼が入っていて、スケジュールはいっぱいになっている。丁重にお断りしたとのことだが当然であろう。
人は、自分が誰かに不義理をしていることを簡単に忘れる。だが、不義理を重ねることは「自分で世間を狭くする」ことに他ならない。中抜き
我々の業界なら、中抜き(契約にかかわった業者を抜いて)して多くの分け前を手にしようとしたり手数料の独り占めを図って、どこの会社からも相手にされなくなるようなものだ。私は、街で誰かと会った時、真っ先に「この人にお礼を言うべきこと、何か無かったか」と考える。うっかり忘れたりしたら信用問題くらいに気にしているものだが、そういうことに無頓着な人は実に多い。いや、それくらい気にしていてもうっかり忘れてしまうことがある。
以前、リフォーム代金を1年も(2回も)払わなかった家主がいて、当社で立て替えて支払ったが、それは家主との信頼関係を気にしてのことではない。業者に不義理をして、うちの急ぎの仕事を優先してもらえなくなったら他の家主さんに迷惑がかかるから、である。不義理の影響は自分や当事者の相手だけにとどまらない。人様にも多大な迷惑をかける、と心すべきである。
(坂口有吉不動産・社長)













